Panic in Detroit

昨日のエントリに、kmoriさんより、クルーグマンブログの11/16エントリについてのコメントを頂いた。
クルーグマンは、そのエントリで、Jonathan Cohnの11/14The New Republic記事「Panic in Detroit」を、ビッグ3救済派の最も優れた論説、と褒めている。そこで今日は、この記事の内容を簡単に紹介してみる。
(なお、ぐぐってみて初めて知ったが、この記事タイトルはデヴィッド・ボウイから取ったもののようだ。)

  • 現在、ビッグ3は、やるべきことをまさにやっている。多くの人々は、ビッグ3はこれから変革をしなくてはならないと考えているが、実は変革はほとんど済んでおり、今必要としているのはその仕上げへの手助けなのだ。
  • チャプター11で会社が無くなるわけではない、というが、GMは航空業界と同じようにはいかない。部品なしで車は作れないし、(買掛のための)信用なしで部品は手に入らない。チャプター11適用会社は、通常DIPファイナンスで信用を提供してもらうが、今のウォール街の状況ではそれもままならない。ということで、GMが破産するとしたら、結局チャプター7型、つまり解散になるだろう、というのが多くのアナリストの見方。そうなったら多くの部品メーカも倒産し、他の自動車メーカも操業を停止する羽目になり、失業者は最悪で300万に達するだろう。それによるコストと比べれば、250億ドルは安いものと言える――ましてや、その金が後で返済されるならば。
  • かつてのデトロイトは確かに問題が多かったが、UAWとの協定の見直しや、プラグインハイブリッド車への注力により、コスト面でも技術面でもトヨタやホンダに引けを取らなくなった。チャプター11を適用すれば、その時々に最も安い部品メーカから買うというデトロイトの悪しき慣習から抜け出せなくなるが、それではトヨタのような品質管理ができなくなる。ましてやチャプター7を適用すれば、これまでせっかく開発してきた技術が雲散霧消してしまう。
  • 以上の理由により、多くのアナリストと経済学者は、渋々ながらではあるが、ビッグ3の救済が破産よりも良い策であると考えている。その際、より改革を進めて燃料効率の良い車を作る、といった条件を付ける必要がある。また、(オバマ政権の支持基盤である)UAWにも譲歩してもらう必要があるし、現経営陣には退場してもらう必要があろう。
  • 同時に、政府がやるべきことをやる必要もある。すなわち、ヘルスケアと年金の改革である。これらは、民間企業が負担すべきものではなかった。実際、トヨタやホンダは、国家がそれらの面倒を見ている国から来ている。また、他の先進国では高いガソリン税を課しており、それが燃料効率の良い車の市場を支えている。米国が同じようにしない理由は無い。