Economist's Viewで知ったが、ブルームバーグ社がFRBを訴えたそうだ。あちこちで取り上げられているが*1、訴えた当の「本人」の記事はこちら。
要は、1.5兆ドルもの銀行への貸出*2に対する担保の内容を情報公開法に基づいて請求したとのことだが、FRBが出し渋っているので、業を煮やして裁判に訴えたとのことだ。記事によると、これまでの経緯は以下の通り。
- 5月21日
- ブルームバーグが、4月4日〜5月20日の間の担保の開示を請求。
- 6月19日
- FRB側が7月3日までに資料を探して開示に是非について回答すると返答。
- 10月25日
- 音沙汰が無いので、ブルームバーグが再度開示請求。
- 11月7日
- ブルームバーグが裁判所に訴え。
FRBの担当者Alison Thro氏によると、FRB側は、商業上の機密情報を理由に、拒否回答を出す準備をしていたとのこと。また、資料の大部分はNY連銀にあるが、それは情報公開法の対象外、とのこと。
一方のブルームバーグ側は、納税者には、空前の規模となる金融業界救済のリスク、コスト、手法について知る権利がある、と意気軒昂だ。FRBを訴えるとはまた大胆な、という気もするが、米国でも日本でも従来のメディアの壁を破って成長してきた会社として、その攻撃性は今も健在なようだ。
主としてNY連銀の問題になりそうということだが、そういえば今のニューヨーク市長って!?
(まあ、「そんなの関係ねえ」と言われればそれまでだが…。)
FRBの資産の現状は、実際、このエントリで取り上げたクルーグマンが懸念したように、職員もびびるほどらしい。今回の訴訟問題を取り上げたこのブログ記事*3によると、8月の9000億ドル(GDPの6%)から、年末には3兆ドル(GDPの20%以上)まで膨れ上がりそう、との由。日銀が1994年から2004年までの10年間をかけてGDPの9%から29%になったことを考えると、そのペースの速さが分かる*4。