2014-05-01から1ヶ月間の記事一覧

エリザベス・ウォーレンとランド・ポールが手を繋ぐ時?

少し前のブログエントリでロバート・ライシュが、左右のポピュリズムが連携する可能性を示唆している(H/T Economist's View)。 エントリの冒頭でライシュはウォーレンの言葉を紹介している。 More Americans than ever believe the economy is rigged in f…

ドイツからのユダヤ人亡命者は米国の技術革新を促進したのか?

というテーマについてPetra Moser(スタンフォード大)、Alessandra Voena(シカゴ大)、Fabian Waldinger(ウォーリック大)がNBER論文「German-Jewish Emigres and U.S. Invention」を書き、Moserがケイトー研究所にその紹介記事を書いている(H/T Mostly …

ヒトラーへの高速道路

という論文(原題は「Highway to Hitler」)をUCLAのNico Voigtländerとチューリッヒ大のHans-Joachim Vothが著し、voxeu記事も書いている(H/T Mostly Economics、UDADISI)。 以下は論文の要旨。 Can infrastructure investment win “hearts and minds”? W…

小企業はいかにして最低賃金引上げの原資を賄うか?

についてペッパーダイン大のCraig R. Everettが調べている(H/T UDADISI)。 以下はその論文「How Do Small Businesses Pay for a Minimum Wage Increase?」の要旨。 The impact of changes in the minimum wage on employment is a politically charged top…

高頻度取引なんか怖くない

引き続きマンキューブログ経由のネタ。マイケル・ルイスの「フラッシュ・ボーイズ」に代表される高頻度取引への批判に、AQRキャピタルのCliff Asness、Aaron Brown、Michael Mendelson、Hitesh MittalがReal Clear Marketsサイトで反論している(AsnessとMen…

99パーセント内の格差

にも目を向けるべき、とMITのDavid Autorが論じ、関連インタビューに答えている(H/T マンキュー)。 以下はインタビューのマンキュー引用部分。 Q. You are focused on inequality among the so-called “99 percent,” not between the 1 percent and the 99…

米国の所得格差は1920年代並みになったのか?

という点についてブルッキングス研究所のGary Burtlessが概ね以下のようなことを述べている(RealClearMarketsサイトの元記事;H/T マンキュー)。 IRSデータと国民所得統計を基にしたピケティ=サエズのデータは、上位1%の「現金市場所得」(=課税賃金、自…

経済学入門に実証を取り込むのが難しいわけ

経済学入門にもっと実証研究の話を取り込むべし、というノアピニオン氏のブルームバーグ論説記事にマンキューが以下のように反応している。 Noah Smith says introductory economics needs to be more empirical. I understand his argument, and have some …

アナと雪の女王とFRBと市場

という一見関係無さそうなお題を結び付けたProject Syndicate論説をモハメド・エラリアンが書いている(H/T Mostly Economics)。以下はその概要(ネタバレあり)。

二つの格差

Econospeakでピーター・ドーマンが、格差には以下の2種類あることに注意を促している。 賃金格差 過去数十年間議論の的になってきた 米国では多くの給与は停滞してきたが、金融のような一部の職種は莫大な報酬を提供してきた 同一職種内でも、僅かなスーパー…

もう一つの12の教訓

少し前にここやここで取り上げたサージェントの12の教訓をもじって、クリス・ディローがより非主流派経済学的な立場からの12の教訓を挙げていた。 人々は異なる動機を持っている:富、権力、自尊心、仕事の満足感、等々。ある一連の動機に適合するインセンテ…

「アフリカの成長の奇跡」をもたらした要因は何か?

というNBER論文をMargaret S. McMillan(タフツ大)とKenneth Harttgen(ETH Zurich NADEL)が書いている(原題は「What is driving the 'African Growth Miracle'?」)。以下はその要旨。 We show that much of Africa’s recent growth and poverty reducti…

家計のインフレ期待と消費支出

について調べた論文をボストン連銀の2人のエコノミスト(Mary A. Burke and Ali Ozdagli)が出している。以下はその要旨。 With nominal interest rates at the zero lower bound, an important question for monetary policy is whether, as predicted in p…

自由度調整済み決定係数の意味

についてDave Gilesが幾つかエントリを書いている。 最初のエントリは1年前の5/2付けで、決定係数も自由度調整済み決定係数もあくまでも統計量であり、従って標本分布が存在する、ということを強調している。そして、Barten (1962)に倣ってこの問題を研究し…

アマチュア対プロ

The Big Pictureに音楽評論家のBob Lefsetzが表題のエントリを寄稿している(H/T 本石町日記さんツイート)。 アマチュア アイディアに溢れていて、それらのすべてに興奮を覚えるが、いずれも実現しない。 プロ アイディアに溢れていて、そのうちの一つを取…

産業政策の復権?

チリの大統領候補にもなったアンドレ・ベラスコ(Andrés Velasco)*1が、産業政策の再検討(Industrial Policy Reconsidered)と題したProject Syndicate記事を書いている(H/T Mostly Economics)。 以下はその概要。 米州開発銀行(IADB)が出版予定の下記…

サッカーの負けは株式市場を傷つける

以前、Mostly Economics経由で、サッカーの試合と株式市場の関係を分析したMichael Ehrmann(カナダ銀行*1)とDavid-Jan Jansen(オランダ銀行)の論文を紹介したことがあったが、同じコンビが再び同様のテーマで論文を書いている(これもMostly Economics経…

エコノミスト誌のエディプスコンプレックス?

11日エントリでリンクしたGlomブログのErik Gerdingが、今度はEconomist誌の5大金融危機に関する論説に噛みついている。その論説記事は、投資家をリスクから保護した改革がモラルハザードを招いて次の危機の原因となった、というトーンで書かれているのだが…

経済政策の9大失敗

についてウェスリアン大学のリチャード・グロスマン(Richard S. Grossman)が書いた下記の本がEH.netで取り上げられている(H/T Mostly Economics)。Wrong: Nine Economic Policy Disasters and What We Can Learn from Them作者: Richard S. Grossman出版…

中国はまだナンバー1ではない

とジェフリー・フランケルがvoxeuおよびProject Syndicateに書いている。これは中国が今年GDPで米国を抜くとFTなどで報じられたことを受けたもの。その報道は世銀の国際比較プログラム(ICP)の報告を基にしているが、フランケルに言わせれば、同プログラム…

経済学のPhD保有者がFRBを乗っ取った経緯

と題した2/3付けエントリ(原題は「How Economics PhDs Took Over the Federal Reserve」)で、ジャスティン・フォックスが以下の図を示している*1。 エントリ中でフォックスは、アラン・ブラインダーとの以下のやり取りを示している。 So has an economics …

経済学にパラダイムシフトは訪れるのか?

ジャスティン・フォックスが、経済学における新たなパラダイムを訴えた本を紹介しつつ、パラダイムについて概ね以下のようなことを書いている(H/T クルーグマン)。 トーマス・クーンのパラダイムという概念は、1950年代後半に当時設立されたばかりのスタン…

大不況と911の共通点

引き続きガートラーインタビューから、これまで引用していない部分の概要をまとめてみる。 大不況は、911と同様、何か悪いことが起きる予兆はあったものの、その発生は予見できなかった。後から考えれば概ね既存の理論で説明できる話だったが、その時はシャ…

死刑台のアクセラレーター

昨日に続き、リッチモンド連銀機関誌Econ Focusのガートラーインタビューから引用してみる。以下はファイナンシャルアクセラレーターの研究に纏わる話。 EF: Along with Ben Bernanke and Simon Gilchrist, you helped to develop the concept of financial …

ガートラーの金融政策の見方

リッチモンド連銀の季刊誌Econ Focusの13年第4四半期号が、バーナンキと共にファイナンシャル・アクセラレーター理論を展開したマーク・ガートラーのインタビューを掲載している(H/T マンキュー、Economist's View)。その中でガートラーは、危機前の政策金…

トム・サージェントの行間にあるもの

27日エントリでは、経済学は体系化された常識(Economics is organized common sense)」というサージェントの言葉へのDavid Glasnerの否定的な反応を紹介したが、Stephen Williamsonも、表題のブログエントリ(原題は「Tom Sargent: What's Between the Lin…

右派のピケティ批判の貧困

雑誌The Bafflerのブログ「Zero Tolerance」でKathleen Geier*1が保守派のピケティ批判をまとめたのを受けて、デロングがProject Syndicate論説で右派の批判を分析した(同論説を表題の自ブログにも転載している;原題は「Over at Project Syndicate: The Po…

コント:ポール君とグレッグ君(2014年第10弾)

マンキューがCNNのスクープ記事をクルーグマンの推奨する医療政策への攻撃材料に使っている。 グレッグ君 政府による医療を推奨する人々は、退役軍人の医療システムを模範として挙げることが多い。例えばポール君は少し前に次のように書いている: 退役軍人…

ケンブリッジ資本論争では誰が勝ったのか?

昨日エントリではディーン・ベーカーによるクルーグマン批判を紹介したが、同じ点についてEconospeakのバークレー・ロッサーもクルーグマンに噛みついた。ロッサーが槍玉に挙げたのは、ケンブリッジ論争で英国側が勝ったというのは間違い、というクルーグマ…

トマ・ピケティとジョーン・ロビンソンの亡霊

と題したエントリ(原題は「Thomas Piketty and the Ghost of Joan Robinson」)で、ディーン・ベーカーがクルーグマンの5/1エントリに反応している。クルーグマンはそのエントリでサイモン・レン−ルイスとTom Palleyの論戦を取り上げ、Pallyやジェームズ・…