雑文

デフレ脱却と相転移のアナロジー

貨幣数量方程式(MV=PY)に関する日米の各論者の議論を読んでいて、ふと、この式を変形すれば貨幣の超過需要の関数になるのではないか、と考えた。具体的には、 G = PY - MV (1) としてGを定義した場合、右辺第一項は名目GDPであり、貨幣需要が発生する要因…

電力供給問題に関する一愚考

今夏に東日本が直面する電力の供給制約問題に関して、現在計画されているような需要サイドの単純な一律削減策ではなく、価格メカニズムを導入してはどうか、という提言が経済学者よりなされている(cf. ここ)。市場メカニズムの導入という点では確かにいか…

ドナルド・ダックたちの宴

経済政策を巡る論議は、自然科学と違い、実験で決着するわけにはいかないので、ある経済政策を推進する主張と、それに対する懐疑論との応酬が延々と続く、という光景をしばしば目にする。もちろん最近は実験経済学といった手法も出てきてはいるが、それで決…

なぜリバタリアン経済学者はブロガーとなるのか?

というテーマでブライアン・カプランがEconlogにブログ記事を書いていた。 I've heard the question many times: "Why do so many GMU economists blog?" The number and ratio are indeed extraordinary: I count 9 bloggers out of the 28 tenure-line fac…

抑止力とインフレ目標

一昨日のエントリに対し、okemosさんからはてぶで以下のようなコメントを頂いた。 「米国政府はさすがにクリストフ氏よりはまだまともなスタンスを取っている」 まともどうこうはともかく、米国が尖閣諸島の為に中国と武力衝突する事はないというクリストフ…

ゲーム理論とコースの定理とミュンヘン宥和

池田信夫氏が、今回の尖閣諸島での漁船衝突事件で船長を釈放した判断はゲーム理論に鑑みて「合理的」だった、とagoraに書いている。ただし、そこで池田氏が断っているように、それはゲームが1回かぎりの場合のチキン・ゲームの利得マトリックスを考えた場合…

反論ヒエラルキーとOSI参照モデル

mojix氏のZopeジャンキー日記の2008/4/13エントリで、ポール・グレアムが反論ヒエラルキーなるものを提唱していることを知った(9/19エントリ「属性攻撃は説得力を下げる」経由;原文はこちら、邦訳はこちら)。 それによると、ネット上での反論は、そのレベ…

Such a lonely word...

Free Exchangeで引用されていたが、The American Sceneという集団ブログでNoah Millmanという人が面白いことを書いている。 “Intellectually honest” means you make arguments you think are true, as opposed to making the arguments you are “supposed” …

不平等社会日本とイモリ

今日は軽めのネタを2つ。 1.不平等社会日本 不平等社会日本―さよなら総中流 (中公新書)作者: 佐藤俊樹出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2000/06/01メディア: 新書購入: 1人 クリック: 54回この商品を含むブログ (107件) を見る ちきりん氏がこの本の…

魔笛を吹いているのは誰?

昨日に続き今日も小ネタ。 8/27の日経の大機小機コラムがツイッター界の一部で話題になった*1。 本日の大機小機ですか。 @isologue 「誰かの負債は誰かの資産」なのは確かだが、「だから無問題」なんてのはナンセンス。(国はさておき)その論理だと企業も倒…

既視感

I notice he has an undergraduate in maths, then went straight into a PhD in economics. My conjecture: I bet he never took Intro Economics, or anything vaguely similar. I bet he waded straight into the mathematical deep end. And so he never…

良い議論の原則

Econlogのブライアン・カプラン*1が表題のエントリを書いている(原題は「Principles of Good Debating」)。以下に抜粋で紹介してみる。 ...here are my candidate principles of good debating. They're not primarily about winning, but about deserving…

ストレスに対処する51の方法

The Big Pictureより(元はノースウエスタン大学のpdfファイルとの由)。 15分早く起きる 前の晩に翌朝の準備をしておく 日の出を見る 日の入りを見る きつい服は避ける 生活の優先順位を定める ネガティブな人々を避ける 逆さ言葉で誰かにごきげんようと言…

クライメートゲート事件と筑波大事件の奇妙な符合

最近世間を騒がせているクライメートゲート事件に関する記事を読んでいて、拙ブログで少し前に取り上げた筑波大プラズマ研究改竄事件となんか似ているな、と思ったので、以下に気が付いた共通点を思いつくままに挙げてみる。なお、あくまでも素人による感想…

二匹の鼠

最近、経済が流動性の罠に落ちた後の各国の状況について、この映画の以下の台詞が極めて暗示的に思えてならない。 Two little mice fell in a bucket of cream. The first mouse quickly gave up and drowned. The second mouse, wouldn't quit. He struggle…

自己充足的予言とレイ・ブラッドベリ

経済学や社会学で自己充足的予言というのは有名な概念である。本ブログでも最近ここやここで取り上げた。Wikipediaによると、そうした予言は古来から存在していたが、その用語自体を発明して社会学の概念として定着させたのは、ノーベル経済学賞を受賞したロ…

経済学者は感情で動く

クルーグマンが経済論争に関して面白いことを書いている。以下はその拙訳。 ゴドウィンの法則の拡張提案 ゴドウィンの法則――ネットでの議論がある程度長引くと、相手をヒトラーに喩える輩が必ず出てくる――は、もし実際に相手をナチに喩えることに走ったら、…

グーグルが教えてくれた10のこと

近刊の下記の本*1の著者、ケン・オーレッタ(Ken Auletta)が、フォーチュンに「10 things Google has taught us」という記事を書いている。Googled: The End of the World As We Know It作者: Ken Auletta出版社/メーカー: Penguin Press発売日: 2009/11/03…

科学と非科学の境目

先週の土曜日にたまたまTBSの報道特集NEXTを見て、昨年の筑波大学での大学教授解雇事件が問題になっていることを知った。 事の経緯は、長照二プラズマ研究センター長がフィジカル・レビュー・レターに投稿した論文に関し、データの改竄があったのではないか…

カンフー・パンダとエレノア・ルーズベルト

以前bewaadさんのところで翻訳コンテストを行なっていたカンフー・パンダの以下の台詞について、意外なことを知った。 You are too concerned with what was and what will be. There is a saying: Yesterday is history, tomorrow is a mystery, but today …

作家の話術

「作者と作品は別もので、作品がすべてで作者はカスであることもあり、作品と作者は似ても似つかぬものであることもあって、作者を知ることは作品の理解をさまたげることが多いのである」 …とかつて山本夏彦は述べたとのことだが、それに呼応するようなエッ…

コント:ポール君とグレッグ君(2009年第12弾):雑感

昨日のエントリについて個人的に考えたことを記しておく。 マンキューの考えの問題点は、必要条件と十分条件の混同にあるように思われる。即ち、高収入の人には確かにIQの高い人が多いだろう。だが、IQの高い人が高収入とは限らないのではないか? その点を…

ブログの凋落?

11Dというブログの「The Blogosphere 2.0」という今月初めのエントリが話題を集めた。内容は、ブログ主のローラ・マッケンナ氏(Laura McKenna)がブログを書き始めて6年目を迎えるにあたり、その6年間のブロゴスフィアの変化を総括してみたというもの。 彼…

ブログでは礼儀正しくあれ

昨日紹介したフェリックス・サーモンの記事は、The Baseline Scenarioでジェームズ・クワックが称賛していたので気付いた。そのエントリでクワックは、質より量というサーモンの考えに同意しつつも、読者を集めるための自分なりの考えを書き連ねている。彼は…

フェリックス・サーモンのジャーナリスト向けブログ講座

最近、梅田望夫氏の例のインタビュー記事を皮切りに、日本のネット界を海外のそれと比較して嘆くエントリを目にするようになった。はてな界隈でも、ここのところ、econ2009氏やラスカル氏の休止宣言や、田中秀臣氏の慨嘆が見られた。 そうした中、ロイターの…

餅は餅屋…か?

昨日と一昨日、日本の経済学者に対しやや挑発的なことを書いてしまったが、今日はさらに挑発的なことを書いてみたい。というのは、最近、経済学は我々プロの仕事だ、素人は引っ込んでいろ、と言わんばかりの言動を続けて目にしたのだが、そうした言動から昔…

日本喩え話

(このエントリのコメント欄でJD-1976さんとやり取りをしているうちに思いついた喩え話) あるところに農家がいました。その農家の一家は概ね自給自足で生活できたのですが、ただ農機具を動かしたり生活に必要な燃料だけは外から買う必要がありました。その…

経済学者とブログ・続きの補足

昨日紹介したWillem Buiterのブログの最近のエントリを見ていたら、1週間前に一騒動あったようだ。2/17 1:45AMのエントリで、Buiterはいったん断筆宣言をしている。理由は、ブログのホスト主であるFTが2/6に導入したコメントのフィルタリング制度のため。こ…

経済学者とブログ・続き

昨日紹介したNick Roweのエントリのコメント経由で知ったが、Willem Buiter氏も表題の件について書いていた。これも面白いので、昨日と同様にまとめてみる。 私のブログをもっと簡潔にしろと言う人たちへ:このブログは私自身のために書いているのであって、…

経済学者とブログ

night_in_tunisaさんが紹介したNick Roweの最新ブログエントリが大変面白い。そのエントリでRoweは、以下のようなことを書いている。 2008年7月以降サバティカルに入ったが、その後金融危機が訪れた。それ以降、1日に何時間も経済や金融のブログを読んで過ご…