政治

独裁者のインナーサークル

というNBER論文が上がっている(ungated版)。原題は「The Dictator's Inner Circle」で、著者はPatrick Francois(ブリティッシュ・コロンビア大)、Ilia Rainer(ジョージ・メイソン大)、Francesco Trebbi(ブリティッシュ・コロンビア大)。 以下はその…

シリアの大統領選の数字が作られたものである証拠

今月初めのシリアの大統領選の結果の数字が切りが良すぎて、作られた数字であることを物語っている、という話題をアンドリュー・ゲルマンがWaPoのブログで取り上げている。このことはロシア人のブロガーRoman Tumaykinが最初に気付いたらしいとのことで、ゲ…

エリザベス・ウォーレンとランド・ポールが手を繋ぐ時?

少し前のブログエントリでロバート・ライシュが、左右のポピュリズムが連携する可能性を示唆している(H/T Economist's View)。 エントリの冒頭でライシュはウォーレンの言葉を紹介している。 More Americans than ever believe the economy is rigged in f…

ヒトラーへの高速道路

という論文(原題は「Highway to Hitler」)をUCLAのNico Voigtländerとチューリッヒ大のHans-Joachim Vothが著し、voxeu記事も書いている(H/T Mostly Economics、UDADISI)。 以下は論文の要旨。 Can infrastructure investment win “hearts and minds”? W…

合理的政治人としての岸信介

年末年始に何となく手元の岸信介に関する本を幾つか*1眺めていたら、この人は基本的に、一般に思われているような単なる権力志向の右翼政治家ではなく、所与の前提下で最適な政治解決策を求める、という、ある意味非常に学校秀才的な合理的行動を取る人だっ…

ダライ・ラマ効果

3年前に日経新聞の春秋コラムが取り上げたという「ダライ・ラマ効果」の原論文「Paying a visit: The Dalai Lama effect on international trade」のJournal of International Economicsへの掲載が決まったらしく、ScienceDirectサイトのArticles in Pressで…

金融危機と戦争

Mostly Economicsが、第一次世界大戦につながった1907年の金融危機を今次の金融危機になぞらえたハロルド・ジェームズ・プリンストン大学教授のProject Syndicate論説*1を紹介している。 以下はその結論部。 In 1907, in the wake of an epochal financial c…

サッチャーの功績

昨日に引き続きクリス・ディローのサッチャー評の紹介。昨日の紹介から分かるように、ディローは決してサッチャーのファンではないが、死去の直後のエントリだということもあり*1、ここではサッチャーの良い点を挙げている: 実用主義 左右両派は彼女が公共…

サッチャーの失敗した成功

クリス・ディローが、意図しない形で成功を収めたサッチャーの功績として以下の3つを挙げている。 1980-81年の景気後退による労組の弱体化 この時に政策として採用されたマネタリズムは別に英国経済への体罰を意図したものではなく、インフレはもっとスムー…

暗黒の水曜日の2つのパラドックス

20年前の9月16日に起きた暗黒の水曜日(=ポンドのERM離脱;cf. ここ)について、Chris Dillowが興味深い考察を示している。彼によれば、その出来事から2つのパラドックスが導かれるという。 一つは、ERM参加は何年も経済学者が熱心に議論して決めたことであ…

人類史上最も無謀な政治的実験

インドの歴史家Ramchandra GuhaがThe New Republicの書評記事で自国のことをそう評している(Mostly Economics経由の Chris Blattman経由)。 THE REPUBLIC OF INDIA is the most reckless political experiment in human history. Never before was a singl…

コトリコフ、大統領選に出馬す

どこまで本気か分からないが、実際にキャンペーンのページを立ち上げている(ブロゴスフィアではタイラー・コーエン発でMostly EconomicsやCheap Talkが取り上げているほか、CNNも報じている)。下記はコーエンが引用したキャンペーンページの想定問答の一つ…

ポーランドの英雄か裏切り者か?

昨日紹介したポーランド外相シコルスキの演説に対し、賛否両論の反応が出ているらしい。 否の方では、国内の野党が不信任案や問責決議案を出す動きを見せているとのこと。欧州連邦を提唱する彼の発言は、1989年以前の属国の状態にポーランドを戻そうとするも…

クリントン元大統領とオバマ大統領の違い

についてサマーズが面白い寸評を述べている。 “They’re very different people,” Summers said. “If you have a 2:00 meeting scheduled with Barack Obama, the meeting might begin at 10 of two … and it surely will have begun by 10 after two.” Summe…

オバマは民主党のニクソンか?

とブルース・バートレット(Bruce Bartlett)が書いている(Economist's View経由)。その心は、所属する党の強硬派とは反対の政策を推進している、という点にある。 ニクソンが大統領に就任した時、共和党の保守派は、彼が前任のジョンソン民主党政権の「偉…

ブライアン・カプランの10の教訓・政治篇

一昨日、昨日に引き続き、Econlogのブライアン・カプランの教訓を紹介する。今日は政治篇。 有権者は非合理的である。そうでないと信じることもまた非合理的である。 政府は外部性の問題の解決にはならない。政府はむしろ、外部性の問題の最たる例である。 …

政治体制と金融危機対応

FCIC(Financial Crisis Inquiry Commission)が危機に関する報告書をまとめた後の店仕舞いの際に、大量の追加資料を公開したという。その資料の中には、バーナンキのインタビューも含まれていたが、そこで彼は以下のようなことを述べている(Mostly Economi…

スターウォーズの政治学

NYTのサイトでたまたま見かけたコラム記事が面白かったのでご紹介*1。 書いたのはNYTコラムニストのRoss Douthatで、コラムの日付は1/24である。そこでDouthatは、マイケル・リンド(Michael Lind)*2が書いた1/18付けSalon記事の以下の一節を槍玉に挙げてい…

ホワイトハウスの大統領経済顧問の役割・その5

これまで紹介したキース・ヘネシー前NEC委員長のブログエントリでは、冒頭に経済政策に関係するホワイトハウスの組織を概観している。今日はその部分を紹介してみる*1。なお、以下は必ずしも逐語訳では無いことに注意されたい。 ホワイトハウス事務局 お馴染…

ホワイトハウスの大統領経済顧問の役割・その4

昨日のエントリで紹介したキース・ヘネシー前NEC委員長の8/8ブログエントリの抜粋部分に、「大統領に決定に関するあらゆる側面を理解してもらうことは重要だ(it’s important that the President understand all the dimensions of the decision)」という言…

ホワイトハウスの大統領経済顧問の役割・その3

昨日と一昨日のエントリでは、キース・ヘネシー前NEC委員長の8/8ブログエントリから、ホワイトハウスの経済チームに関する概略説明の部分を紹介した。 同エントリでは、仮想的な例として、ガソリン税を1ドル増税する政策が検討される際のホワイトハウスの動…

ホワイトハウスの大統領経済顧問の役割・続き

昨日のエントリの続き。キース・ヘネシー前NEC委員長が、オバマ政権の経済チームとブッシュ前政権のそれとの構造的な違いを、以下の3点にまとめている。 President Obama meets with a few of his principal economic advisors daily. Gut reaction: this i…

ホワイトハウスの大統領経済顧問の役割

キース・ヘネシー前NEC委員長がそう題したブログエントリを8/8に書いている(原題は「Roles of the President’s White House economic advisors」;Mostly Economics経由*1)。そこで彼は、今回のクリスティーナ・ローマーCEA委員長の退任劇について、巷間取…

リバタリアンが政府を嫌うべきでない5つの理由

というのが、昨日紹介したreason.comのWilliam D. Eggers & John O'Learyの1/13記事のタイトルである(「Five Reasons Why Libertarians Shouldn't Hate Government」)。副題が「Plus, Five Big Projects That Went Well and Five That Were Disasters」で…

米政府が成し遂げた5つの良い事

reason.comのWilliam D. Eggers & John O'Learyの1/13記事より(Rortybomb経由)。 第二次大戦後の日本の民主国家としての再建 マーシャル・プラン アポロの月着陸 1996年の福祉改革 酸性雨削減 これに対し、Rortybombのマイク・コンツァル(Mike Konczal)…

wktkマンキュー

3日付けのブログエントリ*1で、マンキューは、オバマ政権の経済閣僚への懸念――というか期待――を露にしている。 きっかけは、ガルブレイスの経済学の主流派を批判したNYTインタビュー記事。その中で、ガルブレイスは、米国の15,000人もの経済学者のうち、…

オバマのカリスマ

2年前に、マンキューはブログエントリで、とある冗談サイトの記事を引用した。引用した記事の内容は、オバマのカリスマを民主党議員に配分する法案が可決された、というもの*1。 マンキューは、この記事からヴォネガットの短編小説「ハリスン・バージロン」…

シノプシス・岸信介の生涯

以前、映画が共通の趣味の友人と「自分が映画を撮るとしたらどんな題材を選ぶか」ということを投稿する内輪のBBSを立ち上げたことがある。今日は、そこから6年前に投稿したネタをこちらに転載する。