政治

国家建設、ナショナリズム、および戦争

アレシナが表題の少し毛色の変わったNBER論文の共著者に名を連ねている。原題は「Nation-Building, Nationalism and Wars」で、著者はAlberto Alesina(ハーバード大)、Bryony Reich(ノースウエスタン大)、Alessandro Riboni(エコール・ポリテクニーク)…

金毛地帯

「All the President's Friends: Political Access and Firm Value」というNBER論文が上がっている。著者はイリノイ大学のJeffrey R. BrownとJiekun Huang。 以下はその要旨。 Using novel data on White House visitors from 2009 through 2015, we find th…

男性よりも女性の君主の方が戦争を引き起こす

という主旨のNBER論文が上がっている。論文の原題は「Queens」で、著者はOeindrila Dube(シカゴ大)、S.P. Harish(マギル大)。 以下はその要旨。 Are states led by women less prone to conflict than states led by men? We answer this question by ex…

トランプとゴルバチョフ

と題したエントリをブランコ・ミラノビッチが書いている(H/T Economist's View)。 The juxtaposition of these two names in the title may come as a surprise to many readers. What do a social-democrat who wanted to reform Communism, and the bill…

テクノクラートが見守る中で民主主義が死につつある

ウィリアム・イースタリーがフォーリン・ポリシー誌に表題の論説を寄稿している(原題は「Democracy Is Dying as Technocrats Watch」)。以下はそこからの引用。 Technocrats have always shown little interest in fights over fundamental values. Their …

フィデルのキューバの思い出

と題したブログ記事(原題は「Memories of Fidel's Cuba」)でマンキューが、「From my friend and colleague George Borjas(私の友人であり同僚であるGeorge Borjasから)」という一文を付けて、移民の経済学の研究で有名なGeorge Borjas*1のブログ記事に…

哀しみと憐れみ

と題したブログエントリで、クルーグマンがトランプを痛罵している。原題は「The Sorrow and the Pity」だが、ぐぐってみると元ネタはヴィシー政権下のフランスをインタビューで浮き彫りにしたマルセル・オフュルスのドキュメンタリー映画のタイトルらしい(…

トランプに抗する正しいやり方

2月にトランプとベルルスコーニを比較したジンガレスのNYT論説を紹介したが、トランプが大統領に選出された今、改めてジンガレスが表題のNYT論説を書いている(原題は「The Right Way to Resist Trump」;H/T Economist's View)。 Five years ago, I warned…

低学歴者の勝利

というある意味において如何にも彼らしい直截的なタイトルのブログエントリ(原題は「The Triumph of the Less Educated」)で、マンキューが以下のグラフを紹介している。 曰く、 In a Times column back in July, I noted that the Brexit vote was strong…

長期戦

9日エントリで紹介したマンキューや11日エントリで紹介したディローの楽観論を戒めるかのように、「The Long Haul」という悲観的なブログエントリをクルーグマンが書いている。 As I said in today’s column, nobody who thought Trump would be a disaster …

大統領の人格が問題にならない時

クリス・ディローが、トランプの人格が大統領職においてそれほど問題にならない可能性の理由として以下の3つを挙げている。 人々はそもそも無知で偏見を持っているが、大統領は人々の代表であることが望ましい。 チェック・アンド・バランスというものが存在…

チェック・アンド・バランスとトランプ大統領

選挙結果を受けてマンキューが以下のように書いている。 I did not support Mr. Trump, but now that he is our President-elect, I wish him well. To my many friends who are now freaking out, I encourage you to take a deep breath and calm down. Ou…

ロドリックの見た母国のクーデター

今回のトルコのクーデターについて、ダニ・ロドリックが旅先のスペインからvox.comのエズラ・クラインの質問に答えている。ロドリックは、このクーデターは非常に訳が分からず、計画も杜撰だった、と述べた上で、以下の点を指摘している。 Second, it is not…

組織犯罪、暴力、ならびに政治

というNBER論文が上がっている。原題は「Organized Crime, Violence, and Politics」で、著者はAlberto Alesina(ハーバード大)、Salvatore Piccolo(サクロ・クオーレ・カトリック大)、Paolo Pinotti(ボッコーニ大)。 以下はその要旨。 We investigate …

プロパガンダの限界:チャベスのベネズエラからの実証的結果

というNBER論文が上がっている。原題は「The Limits of Propaganda: Evidence from Chavez's Venezuela」で、著者はBrian Knight(ブラウン大)、Ana Tribin(コロンビア中銀)。 ungated版の導入部では、プロパガンダに対する人々の反応をベネズエラのデー…

縁故資本主義者としてのドナルド・トランプ

というNYT論説をルイジ・ジンガレスが書いている(H/T Economist's View、原題は「Donald Trump, Crony Capitalist」)。 Four years ago, in the first draft of my book “A Capitalism for the People,” I had a section dedicated to how worrisome a Don…

盲目的な中国への礼賛が西側を思考停止に陥らせている

漱石の「こころ」には、「かつてはその人の膝の前に跪いたという記憶が、今度はその人の頭の上に足を載せさせようとするのです」という一節があるが、表題のエントリ(原題は「Blind adoration of China has paralyzed the West…」)の冒頭で、Mostly Econom…

ドナルド・トランプはファシストだ

と題したSlate記事(原題は「Donald Trump Is a Fascist」)をJamelle Bouieが書き、ウンベルト・エーコの挙げた14のファシズムの特徴*1のうち、以下の7つが特に良く当てはまる、としている(マンキュー経由のロス・ドウザット[Ross Douthat]NYT論説経由)…

社会主義が資本主義を平等に保ったのか?

というブログエントリをブランコ・ミラノヴィッチが書いている(原題は「Did socialism keep capitalism equal?」;H/T Economist's View)。 以下はその一節。 The socialist story recently received a boost from two papers. Both argue that the demons…

21世紀の自由からの逃走

ニキータ・フルシチョフの孫娘*1であるニーナ・フルシチョワ(Nina L. Khrushcheva)ニュースクール大学教授が、Project Syndicate論説で新たな全体主義の台頭に警鐘を鳴らしている(H/T Mostly Economics)*2。 Even though economic conditions were dire …

マンキュー政治学

炭素税を支持するマンキューが、炭素税を他の税の減税に使わずに支出の増加に使おうとする左派の動きを批判した。それに対しEnvironmental Economicsブログのジョン・ホワイトヘッドが、左派から見た場合、炭素税が富裕層の減税のためのトロイの木馬になると…

フリードマン「然るべき人を選出しさえすれば良いわけではない」

Townhall.comのミルトン・フリードマン生誕103年を記念した20の箴言集記事から、マンキューが以下を引用している。 I do not believe that the solution to our problem is simply to elect the right people. The important thing is to establish a politi…

カーネマンとパレスチナ問題

先月半ばのガーディアンにダニエル・カーネマンのインタビュー記事が掲載されている(H/T Mostly Economics)。そこではナチスの迫害から逃げ回った少年時代が語られた後に、イスラエルでのパレスチナ問題に関する彼の見方が示されている。 As an Israeli, t…

AIIBと英ソ通商協定

アジアインフラ投資銀行(AIIB)にイギリス、ドイツが抜け駆け的に参加し、米国が歯噛みをしている状況を見て、大学時代に世界史で習った一場面を思い出した。以下は、「世界の歴史 14 第一次大戦後の世界」からの該当のエピソードの引用。 異なった体制の下…

独裁者との闘い

昨日紹介したテンダイ・ビティの回想エッセイでは、「Working with the Enemy」と題した節で、宿敵と仕事をする様子が描かれている。 If I was to get anything done, I had to work with all sides. Fighting for democracy, MDC supporters had suffered g…

第二の帝国主義時代

Economist's Viewが紹介し、本石町日記さんもツイートされているが、ブランコ・ミラノヴィッチが表題の件について考察している。 As we enter 2015, it is not useless to look backwards in order to try to guess the trends of the future. I would argue…

経済発展を成し遂げた独裁者が去ってから、民主化が始まる

という主旨の論文をUCLAの政治学者Daniel Treismanが書き、WaPoのMonkey Cageで内容を紹介している。 以下は論文の要旨。 While some believe that economic development prompts democratization, others contend that both result from distant historical…

誰がために壁は倒れた? 資本主義への移行の収支決算・おまけ

昨日紹介したブランコ・ミラノヴィッチのエントリに以下のようなコメントを書いた: 良記事です。しかし、ポアンカレ予想を解いたことも偉大な科学的業績の一つとして数えられるのではないかと思います。あと、アレクサンドル・ニコラエヴィチ・ソクーロフと…

独裁者のインナーサークル

というNBER論文が上がっている(ungated版)。原題は「The Dictator's Inner Circle」で、著者はPatrick Francois(ブリティッシュ・コロンビア大)、Ilia Rainer(ジョージ・メイソン大)、Francesco Trebbi(ブリティッシュ・コロンビア大)。 以下はその…

シリアの大統領選の数字が作られたものである証拠

今月初めのシリアの大統領選の結果の数字が切りが良すぎて、作られた数字であることを物語っている、という話題をアンドリュー・ゲルマンがWaPoのブログで取り上げている。このことはロシア人のブロガーRoman Tumaykinが最初に気付いたらしいとのことで、ゲ…