シリアの大統領選の数字が作られたものである証拠

今月初めのシリアの大統領選の結果の数字が切りが良すぎて、作られた数字であることを物語っている、という話題をアンドリュー・ゲルマンがWaPoのブログで取り上げている。このことはロシア人のブロガーRoman Tumaykinが最初に気付いたらしいとのことで、ゲルマンはAnatoly Vorobeyという人経由で知ったとの由。


選挙結果の詳細は日本語ではこちらで報じられているが、そこから引用すると以下の通り*1

バッシャール・アサド 1031万 9723 票(当選。得票率 88.7 %)
ハサーン・ヌリ 50 万 279 票(得票率 4.3 %)
マーヒル・ハジャ 37 万 2301 票(得票率 3.2 %)
無効票 44 万 2108 票( 3.8 %)
有権者登録総数 1584万5575人
投票者数 1163万4412人(投票率73.42%)


ここで投票者数にそれぞれの得票率を掛けると以下のようになる。

アサド 0.887 * 11634412 = 10319723.4
ヌリ  0.043 * 11634412 = 500279.7
ハジャ 0.032 * 11634412 = 372301.2
無効票 0.038 * 11634412 = 442107.7

即ち、小数点以下を丸めると得票数とピタリと一致する。


ゲルマンは本体ブログでそうなる確率を計算している。それによると、得票率は0.1%単位で報告されているので、0.001*11634412 = 11634 の幅がある。従って、投票者数に得票率を掛けた値の小数点以下を切り上げもしくは切り捨てた数字が得票数が一致する可能性は、2/11634=1/5817である。3人ともそうなる確率は、1/5817の3乗で、5×10-12である*2。ゲルマンは、これがp値であるが、まともに計算するまでもなく不正は明らか、としている*3

*1:ただしアサドの得票数が誤って1031万9732票となっていたのは1031万9723票に修正した。

*2:なお、ゲルマンは当初無効票も含めて1/5817の4乗としていたが、合計が100%になるのだから無効票も含めるのはおかしいとコメント欄で指摘されて、訂正している。ちなみに、無効票は小数点以下切り捨てではなく切り上げで実際の値に一致するが、候補者3人についてはいずれも切り捨てた値が一致しているので、切り捨てた数字になる可能性だけを考えて計算すると、1/11634の3乗で、6×10-13となる。

*3:一方、WaPoブログでゲルマンは、そもそも投票者数が明らかではなく、選挙事務所の誰かが0.1%単位で得票率を計算し、別の誰かがその得票率から投票者数を逆算したのかも――その場合、必ずしも不正とは言えないかもしれない――という推測も示している。