ホワイトハウスの大統領経済顧問の役割・その5

これまで紹介したキース・ヘネシーNEC委員長のブログエントリでは、冒頭に経済政策に関係するホワイトハウスの組織を概観している。今日はその部分を紹介してみる*1。なお、以下は必ずしも逐語訳では無いことに注意されたい。

ホワイトハウス事務局

お馴染みの名前、テレビで良く目にする顔、マスコミが「ホワイトハウス職員」と呼ぶ人たちは、大抵がホワイトハウス事務局に属する。

  • ラーム・エマニュエル(Rahm Emanuel)大統領首席補佐官
  • ジム・メッシーナ(Jim Messina)大統領次席補佐官
  • モナ・サトフェン(Mona Sutphen) 大統領次席補佐官
  • デビッド・アクセルロッド(David Axelrod)大統領上級顧問
  • バレリー・ジャレット(Valerie Jarrett)大統領上級顧問
  • ピーター・ラウズ(Peter Rouse)大統領上級顧問
  • ダン・ファイファー(Dan Pfeiffer)広報部長
  • ロバート・ギブズ(Robert Gibbs)大統領報道官
  • ボブ・バウアー(Bob Bauer)法律担当顧問
  • リサ・ブラウン(Lisa Brown)職員事務官
  • 3つのホワイトハウス政策委員会のトップ
    • 国家安全保障会議NSC)(ジム・ジョーンズ(Jim Jones))
    • 国家経済会議(NEC)(ラリー・サマーズ(Larry Summers))
    • 国内政策会議(DPC)(メロディー・バーンズ(Melody Barnes))
  • 他数名

これらのホワイトハウス上級職員は大統領に直属し、それぞれが何々担当の大統領補佐官という肩書きを持っている。ラーム・エマニュエルは首席補佐官である。フィル・シリロは議会担当の大統領補佐官である。ラリー・サマーズは大統領補佐官兼国家経済会議委員長である。
大統領補佐官は1〜4名の副補佐官、8人以下の特別補佐官、および下級職員からなるスタッフを抱えている。副補佐官は正式には大統領副補佐官であり、特別補佐官は大統領特別補佐官である。技術的には、それぞれが大統領に「直属」するが、実際には間に補佐官が入る、ということになる。
大統領補佐官オーバルオフィスのあるウエストウイングにオフィスを構えている。一般的に言って、大統領との近さは権力に比例する。


大統領行政府

大統領行政府はホワイトハウス事務局のほか、以下の2つの大きな組織を含んでいる。

  • 行政管理予算局(OMB)
  • 米国通商代表部(USTR)

それ以外にも、以下のようなもっと小規模の組織も含む。

  • 経済諮問会議(CEA
  • 環境評議会
  • 国家薬物取締政策局

OMB局長とCEA委員長は、他の多くのホワイトハウス職員と共にアイゼンハワー行政府ビル内にオフィスを構え、非公式に「ホワイトハウス職員」として認められている。重要なのは、この2人がホワイトハウスの毎日の上級スタッフの会合に出席していることである。それによって、彼らは、議会担当補佐官や上級顧問や広報部長や報道官や政策委員会のトップと並んで、大統領の中核チームの一員となっている。公式ないし技術的には、OMB局長とCEA委員長は行政府職員であって、ホワイトハウス職員ではない。しかし、実世界ではそこには実務的な違いは存在せず、彼らを大統領顧問と見做して差し支えない。


通商代表部は道路を挟んだ反対側にあり、中核チームよりは大統領との距離がやや遠い。また、通商代表部代表は世界を飛び回って貿易問題に専念する傾向があり、他の非貿易問題とはやや距離を置いている。


大統領の経済チーム

経済チームの公的な役割は政権が代わってもあまり変化しないが、非公式の役割は、大統領ないし彼の手法、および彼のチームの顔触れによって変わる。

  • NEC委員長(ラリー・サマーズ)
  • 政策担当次席補佐官(モナ・サトフェン)

この2人はホワイトハウス職員なので議会の承認は必要ないが、以下の人々はすべて必要。

  • CEA委員長(9月1日頃まではクリスティーナ・ローマー)
  • OMB局長(先月までピーター・オルザグだった。大統領が指名した後任はジャック・ルー)
  • 財務長官(ティム・ガイトナー
  • 商務長官(ゲイリー・ロック)
  • USTR代表(ロン・カーク)
  • その他、労働省、エネルギー省、保健福祉省、農務省、運輸省、住宅都市開発省、環境保護局の各長官

*1:Wikipediaのほか、この資料や、この資料のp.93以降も参照。