2022-01-01から1ヶ月間の記事一覧

平均インフレ目標:時間的非整合性と意図した曖昧性

というNBER論文が上がっている(9月時点のクリーブランド連銀WP)。原題は「Average Inflation Targeting: Time Inconsistency and Intentional Ambiguity」で、著者はChengcheng Jia(クリーブランド連銀)、Jing Cynthia Wu(ノートルダム大)。 以下はそ…

なぜ監督者は銀行組織を格付けするのか?

というNY連銀論文をMostly Economicsが紹介している。原題は「Why Do Supervisors Rate Banking Organizations?」で、著者は同連銀のJames BerginとKevin Stiroh。 以下はその要旨。 This article addresses a question that at first may appear simple: wh…

8000億ドルの給与保護プログラム:資金はどこに流れ、なぜそこに流れたのか?

というNBER論文をAutorらが上げている。原題は「The $800 Billion Paycheck Protection Program: Where Did the Money Go and Why Did it Go There?」で、著者はDavid Autor(MIT)、David Cho(FRB)、Leland D. Crane(同)、Mita Goldar(独立研究者)、B…

政治的制約とソブリン・デフォルト

というNBER論文が上がっている(ungated版)。原題は「Political Constraints and Sovereign Default」で、著者はMarina Azzimonti(ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校)、Nirvana Mitra(シブ・ナダー大)。 以下はその要旨。 We study how politic…

価格統制異聞

optical_frogさんが訳されたノアピニオン氏の価格統制に関する記事でクルーグマンの連続ツイートの最後が引用されているが、その全体は以下の通り。 Price controls VERY occasionally have their uses — during wartime when rationing is rampant and perc…

2000年代と今回の住宅価格上昇の違い

についてクルーグマンがツイートしている(H/T タイラー・コーエン)。 Aha. An economic mystery solved, I think (with a suggestion from Charlie Steindel). I've been noting that we're currently seeing a surge in real house prices up to 2000s-bu…

最低賃金、効率性、および厚生

というNBER論文が上がっている(ungated版のリンクがある著者の一人のサイト)。原題は「Minimum Wages, Efficiency and Welfare」で、著者はDavid W. Berger(デューク大)、Kyle F. Herkenhoff(ミネソタ大)、Simon Mongey(シカゴ大)。 以下はその要旨…

MPCからMPXへの簡単なマッピング

というNBER論文が上がっている(ungated版)。原題は「A Simple Mapping from MPCs to MPXs」で、著者はDavid Laibson(ハーバード大)、Peter Maxted(UCバークレー)、Benjamin Moll(LSE)。 以下はその要旨。 Standard consumption models assume a noti…

銀行の不透明性――パターンと意味合い

というBIS論文をMostly Economicsが紹介している。原題は「Bank opacity - patterns and implications」で、著者はStefan Avdjiev(BIS)、Maximilian Jager(マンハイム大)。 以下はその要旨。 We investigate the patterns and implications of bank opac…

安全資産としての債務

政府債務のバブルに関する研究を以前に紹介したプリンストン大のマーカス・ブルナーメイヤー(Markus K. Brunnermeier)、スタンフォード大のユリ・サニコフ(Yuliy Sannikov)、エクセター大のSebastian A. Merkelの3人が、そのバブルに関する考察を深めた…

サマーズが成長悲観論者である理由

というコメント(原文は「Why Summers is a growth pessimist」)を添えてタイラー・コーエンがサマーズの以下のツイートにリンクしている。My thoughts on growth over the next decade versus growth over the last decade. Seems to me there is every re…

自然災害への強制的な適合と自主的な適合:米国の山火事のケース

というNBER論文が上がっている(ungated版へのリンクがある著者の一人のサイト)。原題は「Mandated vs. Voluntary Adaptation to Natural Disasters: The Case of U.S. Wildfires」で、著者はPatrick W. Baylis(ブリティッシュコロンビア大)、Judson Boom…

コロナ禍で手に職をつけたくてもつけられなくなった

という現象を明らかにしたNBER論文が上がっている。論文のタイトルは「Limited Supply and Lagging Enrollment: Production Technologies and Enrollment Changes at Community Colleges during the Pandemic(供給制限と入学者数の低迷:コロナ禍におけるコ…

金融機関がよろけると一般企業も躓く

「Financial Intermediaries and the Macroeconomy: Evidence from a High-Frequency Identification」というNBER論文が上がっている(ungated版へのリンクがある著者の一人のサイト)。著者はPablo Ottonello(ミシガン大)、Wenting Song(カナダ銀)。 We…

マクロ経済研究の現在と過去

というNBER論文が上がっている(H/T Mostly Economics、3月時点のSSRN版)。原題は「Macroeconomic Research, Present and Past」で、著者はPhilip J. Glandon(ケニオン大)、Kenneth Kuttner(ウィリアムズ大)、Sandeep Mazumder(ベイラー大)、Caleb St…

都市の求心力と遠心力

前回エントリでは空間経済学における集積力と分散力について分析した論文を紹介したが、エドワード・グレイザー(Edward Glaeser)がリッチモンド連銀の季刊誌Econ Focusのインタビュー記事で、都市に働く別の逆方向の力について語っている(H/T Mostly Econ…

空間均衡:2地域の場合

というNBER論文が上がっている(ungated(SSRN)版)。原題は「Spatial Equilibria: The Case of Two Regions」で、著者はKonstantin Kucheryavyy(東大)、Gary Lyn(アイオワ州立大)、Andrés Rodríguez-Clare(UCバークレー)。 以下はその要旨。 In this…

発展途上国における停電:卸売電力市場の役割

というNBER論文が上がっている(ungated版)。原題は「Blackouts in the Developing World: The Role of Wholesale Electricity Markets」で、著者はAkshaya Jha(カーネギーメロン大)、Louis Preonas(メリーランド大)、Fiona Burlig(シカゴ大)。 以下…

外部の選択肢に関する労働者の考え

というNBER論文が上がっている(ungated版)。原題は「Worker Beliefs About Outside Options」で著者はSimon Jäger(MIT)、Christopher Roth(ケルン大)、Nina Roussille(LSE)、Benjamin Schoefer(UCバークレー)。 以下はその要旨。 Workers wrongly …

金融危機時の銀行の受取利息:LIBORvs仮想的なSOFR融資

というNBER論文が上がっている。原題は「Interest Received by Banks during the Financial Crisis: LIBOR vs Hypothetical SOFR Loans」で、著者はUrban Jermann(ペンシルベニア大)。 以下はその要旨。 The credit sensitivity of LIBOR helped lenders d…

ネットワーク化経済における財政政策

というNBER論文が上がっている(ungated版)。原題は「Fiscal Policy in a Networked Economy」で、著者はJoel P. Flynn(MIT)、Christina Patterson(シカゴ大)、John Sturm(MIT)。 以下はその要旨。 Advanced economies feature complicated networks …

中銀、財務省、市場のどれが物価水準を決めるのか?

というフランス銀行論文をMostly Economicsが紹介している。原題は「The Central Bank, the Treasury, or the Market: Which One Determines the Price Level?」で、著者は Barthélemy Jean(フランス銀行)、Mengus Eric(HECパリ)、Plantin Guillaume(パ…

逃げるはトラウマになるが役に立つ

「Forced Displacement and Human Capital: Evidence from Separated Siblings」というNBER論文が上がっている(ungated版へのリンクがある著者の一人のサイト)。著者はGiorgio Chiovelli(モンテビデオ大)、Stelios Michalopoulos(ブラウン大)、Elias P…

通貨戦争、貿易戦争、および世界需要

というNBER論文が上がっている(ungated版)。原題は「Currency Wars, Trade Wars, and Global Demand」で、著者はOlivier Jeanne(ジョンズ・ホプキンス大)。 以下はその要旨。 This paper presents a tractable model of a global economy in which count…

ゾンビ貸し出しと政策の罠

というNBER論文が上がっている(ungated版、関連VoxEU記事)。原題は「Zombie Lending and Policy Traps」で、著者はViral V. Acharya、Simone Lenzu、Olivier Wang(いずれもNYU)。 以下はその要旨。 We build a model with heterogeneous firms and banks…

イノベーション・ネットワークとイノベーション政策

というNBER論文が上がっている(ungated版)。原題は「Innovation Networks and Innovation Policy」で、著者はErnest Liu(プリンストン大)、Song Ma(イェール大)。 以下はその要旨。 We study the optimal allocation of R&D resources in an endogenou…

金融政策と内生的な金融危機

というNBER論文をJordi Galíらが上げている(ungated版)。原題は「Monetary Policy and Endogenous Financial Crises」で、著者はFrederic Boissay(BIS)、Fabrice Collard(トゥールーズ経済学院)、Jordi Galí(CREI)、Cristina Manea(ドイツ連銀)。 …

米国のコアインフレの測定:COVID-19のストレステスト

というNBER論文をローレンス・ボールらが上げている。原題は「Measuring U.S. Core Inflation: The Stress Test of COVID-19」で、著者はLaurence M. Ball(ジョンズ・ホプキンス大)、Daniel Leigh(IMF)、Prachi Mishra(同)、Antonio Spilimbergo(同)…

デジタル融資は穴を埋めているのか、穴を掘っているのか? マラウイでの実証結果

というNBER論文が上がっている(ungated版)。原題は「Is Digital Credit Filling a Hole or Digging a Hole? Evidence from Malawi」で、著者はValentina Brailovskaya(IDインサイト)、Pascaline Dupas(スタンフォード大)、Jonathan Robinson(UCサンタ…

ペルツマン再訪:21世紀におけるFDA規制の機会費用の定量化

保守派の経済学者としてクルーグマンなどのリベラル派の経済学者と幾たびか角突き合わせてきたケイシー・マリガン(Casey B. Mulligan、シカゴ大)が、表題のNBER論文を上げている。原題は「Peltzman Revisited: Quantifying 21st Century Opportunity Costs…