2010-08-01から1ヶ月間の記事一覧

貨幣の「簿価」と「時価」

アルファブロガーの会計士として有名な磯崎哲也氏のツイート経由で、日銀券に関する磯崎氏とito_haru氏との論争があったことを知った。 その中で磯崎氏は次のように述べている。 window.twttr = (function(d, s, id) { var js, fjs = d.getElementsByTagName…

雇用にとっては企業の規模ではなく年齢が重要

FT alphavilleの8/24エントリで、そう報告した論文が紹介されている。それによると、米国では小企業こそが雇用をもたらすと広く信じられているが、企業の年齢でコントロールするとその効果は消えてしまう、とのことである。 そのことは、以下の図に良く表れ…

魔笛を吹いているのは誰?

昨日に続き今日も小ネタ。 8/27の日経の大機小機コラムがツイッター界の一部で話題になった*1。 本日の大機小機ですか。 @isologue 「誰かの負債は誰かの資産」なのは確かだが、「だから無問題」なんてのはナンセンス。(国はさておき)その論理だと企業も倒…

既視感

I notice he has an undergraduate in maths, then went straight into a PhD in economics. My conjecture: I bet he never took Intro Economics, or anything vaguely similar. I bet he waded straight into the mathematical deep end. And so he never…

米国で最も危険な職業

Economixの8/20にそう題したエントリが上がっている(原題は「The Most Dangerous Jobs in America」)。内容は、労働統計局のレポート「NATIONAL CENSUS OF FATAL OCCUPATIONAL INJURIES IN 2009 (PRELIMINARY RESULTS)」の紹介。このレポートでは、昨年の…

予想PERと実績PER

昨日のエントリではPERを取り上げたが、データの制約により実績PERについてのみ論じた。ただ、実際の証券分析では予想PERを用いることが多い。その理由の一つは、一番単純な株価モデルでは、株価は将来の利益の割引現在価値だからである。 具体的には、利益E…

PERを見る時の注意点

柏野雄太氏が@ITで齊藤誠氏の近著「競争の作法 いかに働き、投資するか (ちくま新書)」を取り上げている(柏野氏のブログwrong, rogue and booklogの8/23エントリ経由)。そこで柏野氏は、同書の主張を以下のように紹介している。 さて、その「競争の作法」…

ウォール街の銀行家は生粋の悪人ではなかった・続き

昨日のエントリではソーキンのインタビューから銀行家の特性に触れた部分を紹介したが、インタビューの終わりの部分では、今度は実名を挙げながら再び銀行家の性について論じているので、今日はそちらを紹介してみる。 SPIEGEL: You also describe a surpris…

ウォール街の銀行家は生粋の悪人ではなかった

シュピーゲル誌が表題のタイトルのもとで、下記の本の著者のアンドリュー・ロス・ソーキンのインタビューを掲載している(原題は「Interview with Andrew Ross Sorkin: 'Wall Street Bankers Are Not Pure Evil'」;Economist's View経由)。リーマン・ショ…

ラッファー曲線の屈曲点はどこ?

Wapoのエズラ・クラインのブログでDylan Matthewsがそう題したエントリを上げている(マンキューブログ、デロングブログ経由;原題は「Where does the Laffer curve bend?」)。Matthewsは表題の質問を各識者にぶつけ、得られた回答を同エントリにまとめてい…

ホワイトハウスの大統領経済顧問の役割・その5

これまで紹介したキース・ヘネシー前NEC委員長のブログエントリでは、冒頭に経済政策に関係するホワイトハウスの組織を概観している。今日はその部分を紹介してみる*1。なお、以下は必ずしも逐語訳では無いことに注意されたい。 ホワイトハウス事務局 お馴染…

ホワイトハウスの大統領経済顧問の役割・その4

昨日のエントリで紹介したキース・ヘネシー前NEC委員長の8/8ブログエントリの抜粋部分に、「大統領に決定に関するあらゆる側面を理解してもらうことは重要だ(it’s important that the President understand all the dimensions of the decision)」という言…

ホワイトハウスの大統領経済顧問の役割・その3

昨日と一昨日のエントリでは、キース・ヘネシー前NEC委員長の8/8ブログエントリから、ホワイトハウスの経済チームに関する概略説明の部分を紹介した。 同エントリでは、仮想的な例として、ガソリン税を1ドル増税する政策が検討される際のホワイトハウスの動…

ホワイトハウスの大統領経済顧問の役割・続き

昨日のエントリの続き。キース・ヘネシー前NEC委員長が、オバマ政権の経済チームとブッシュ前政権のそれとの構造的な違いを、以下の3点にまとめている。 President Obama meets with a few of his principal economic advisors daily. Gut reaction: this i…

ホワイトハウスの大統領経済顧問の役割

キース・ヘネシー前NEC委員長がそう題したブログエントリを8/8に書いている(原題は「Roles of the President’s White House economic advisors」;Mostly Economics経由*1)。そこで彼は、今回のクリスティーナ・ローマーCEA委員長の退任劇について、巷間取…

査読付き学会誌はもう不要?

Mostly Economicsが2回に亘ってDeLisle Worrellバルバドス中央銀行総裁のスピーチを紹介している(ここ、ここ)。内容は最近良く耳にする現代経済学への批判だが、かなりユニークな(ユニークすぎる?)論点も含まれている。 ただ、個人的には、そういった経…

タスマニア効果と宇宙植民地化

イギリスのSF作家チャールズ・ストロスが、現代の技術文明を維持するのに必要な人口を見積もっている(7/23ブログエントリ)。彼の推定によると、1億人〜10億人の範囲ではないか、とのこと。ここで上限の10億人は、NAFTA、EU、日本、台湾、および中国の工業…

均衡を決めるのは歴史か、それとも期待か?

Rajiv Sethiが、ンゴジ・オコンジョ・イウェアラ(Ngozi Okonjo-Iweala)世銀専務理事が「サハラ以南こそ次のBRICSだ」とぶち上げた*1講演を取っ掛かりに、表題の件について考察を巡らしている。 「History Versus Expectations in Sub-Saharan Africa」と題…

ケインズは戦場を間違えていた?

Rajiv Sethi経由で、トービンの論文からの引用*1。 Keynes's General Theory attempted to prove the existence of equilibrium with involuntary unemployment, and this pretension touched off a long theoretical controversy. A. C. Pigou, in particul…

政治家と水夫

マンキューがPeter Gordonという人のブログ経由で見つけたPaul Seabrightの「The Company of Strangers: A Natural History of Economic Life」からの以下の引用が彼のお気に召したようだ。 Politicians are in charge of the modern economy in much the sa…

Schmitt-Grohe=Uribeのゼロ金利制約論への素朴な疑問

岩本康志氏がSchmitt-Grohe and Uribe(2009)を元に、望ましいインフレ率についての4つの論点を以下のようにまとめている。 価格が伸縮的な場合,ゼロ金利・デフレが望ましい(フリードマン・ルール,あるいはシカゴ・ルールと呼ばれる)。 価格調整に費用が…

デフレの謎・ある回答

気がつくと、Canucks Anonymousブログが最近それなりの頻度で更新されるようになっていた*1。 その7/26エントリでは、クルーグマンが同日のブログエントリ*2で提起したデフレの謎について、一つの回答を示している。 クルーグマンが提起した謎とは、日本では…

コトリコフの銀行改革案

世代会計で有名な経済学者ローレンス・コトリコフが、少し前に下記の本を出版した。Jimmy Stewart Is Dead: Ending the World's Ongoing Financial Plague with Limited Purpose Banking作者: Laurence J. Kotlikoff出版社/メーカー: Wiley発売日: 2010/03/0…

米政府はセカンドインパクトを防いだのか?

先月末に、アラン・ブラインダーとムーディーズのマーク・ザンディ(Mark Zandi)が「如何にして大不況は終焉させられたか(How the Great Recession Was Brought to an End)」というレポートを発表した。そのレポートでは、ムーディーズの経済モデルを用い…

低金利が住宅価格の大変動をもたらしたのか?

Economix BlogでEd Glaeserがそう題した記事を書いている(原題は「Did Low Interest Rates Cause the Great Housing Convulsion?」)。そこで彼は、最近の共著論文「Can Cheap Credit Explain the Housing Boom?」の内容を紹介している。 記事の概要は以下…

行動ではなく言葉こそが中央銀行の力の根源

ベンジャミン・フリードマン(Benjamin Friedman)とケネス・カトナー(Kenneth Kuttner)の論文「Implementation of Monetary Policy: How Do Central Banks Set Interest Rates?」*1を取り上げたWSJブログ記事がそう題されている(原題は「Words, Not Deed…

失業に関する5つの神話

WapoのFive mythsシリーズで、米国の経済政策研究所(Economic Policy Institute)のHeidi Shierholzが失業について書いている。以下はその要約。 失業手当ては人々に職を見つけにくくする 失業手当は、そもそもは解雇された労働者が自分の技術と経験に見合…

ローマーのチャーターシティ構想はクズだ

ガーディアンの論説委員Aditya Chakraborttyが「ポール・ローマーは優れた経済学者だ――しかし彼のチャーターシティ構想は駄目だ(Paul Romer is a brilliant economist – but his idea for charter cities is bad)」と題した記事でそう書いている(副題は「…

「デフレの罠」への素朴な疑問・続き

昨日はBSU論文ないしそれを受けたブラード論文への素朴な疑問を記したが、今日は、その話題の続きとして、さらに3つの論点を挙げてみる。 自然利子率上昇策とBSU論文の矛盾 昨日のエントリでは、フィッシャー式における実質金利は自然利子率であろう、と論じ…

「デフレの罠」への素朴な疑問

先週末にはサムナーとクルーグマンの論争が経済ブロゴスフィアで話題になったが、そのきっかけは、サムナーがセントルイス連銀のブラード総裁の論文を批判したことにあった。今日のエントリでは、その論文の前半部を足掛かりに、サムナーとはまた異なる観点…