2010-04-01から1ヶ月間の記事一覧

市場原理主義の方が議論が簡単?

というボヤキめいたブログポストをMark Thomaが書いていたので、以下に訳してみる(原題は「Is Market Fundamentalism the Easier Argument?」)。 おそらくこれは「隣の芝生は青く見える」という話になるのだろうが、今日私が出席したミルケン・グローバル…

ゼロ金利政策の終焉?

FT alphavilleが「ゼロ金利政策(ZIRP)が終わったことに気付いたかい?(Do you notice the end of ZIRP?)」という記事を載せている。記事を書いたポール・マーフィー(Paul Murphy)記者がその証拠として提示するのは以下のグラフ。 2008年12月に導入され…

イースタリー「ラインハート=ロゴフ? そんなに心配するこたぁない」

ラインハート=ロゴフの「This Time Is Different: Eight Centuries of Financial Folly」は当然ながらあちこちのブログで取り上げられ、拙ブログでも何回かそうしたエントリを紹介してきたが、イースタリーも約一ヶ月前に取り上げている(Economist's View…

リソルツ「ゴールドマン有罪に1000ドル!」

Mark Thomaが「相変わらずバリー・リソルツは優柔不断とは無縁のようだ」というコメントをつけてThe Big Pictureの4/23エントリを紹介している。以下にそれを訳してみる。 GS問題についてあなたが知らない(もしくは誤解している)10のこと10 Things You Don…

ラインハート=ロゴフ vs バーナンキ=フリードマン?

クルーグマン=ウェルズのラインハート=ロゴフ本に対する書評(Economist's Viewとクルーグマンブログでリンクされている)で、金融政策に関して気になる記述があった。 It’s worth noting, as an aside, that the Reinhart-Rogoff interpretation of the G…

中年になった新経済地理学

クルーグマンが4/15ブログエントリで自分のAssociation of American Geographersの4/16講演草稿にリンクしている。その草稿は「The New Economic Geography, now middle-aged」と題されている。以下に小生が興味を惹かれた文章をピックアップしてみる。 まず…

ルービンとデリバティブ規制

クリントン元大統領がデリバティブ規制についてABCテレビで語ったことが波紋を呼んでいる。そこで彼は、ルービン、サマーズ両財務長官からデリバティブ規制はしなくて良いという誤った助言を受け、それを自分も鵜呑みにしてしまった、と反省の弁を述べている…

ゴールドマン問題の真実?

ゴールドマン・サックスに対するSEC訴追を受けて米ブロゴスフィアは蜂の巣をつついたような騒ぎになったが、その中の“与太話”を2つ紹介してみる。 一つはデロングが4/20エントリで紹介したウォール街の匿名の人から寄せられた仮説。 Perhaps the reason that…

トランシェとスライス

4/20にアンドリュー・ゲルマンが素朴な疑問を投げ掛けている。 Can somebody tell me why, when they're talking about those fancy financial products, people use the word "tranche" rather than "slice"? No big deal, I'm just curious. (拙訳) 例の…

クルーグマン:金融改革に対する6つのバンテージ・ポイント

クルーグマンが4/18ブログエントリで、このコンファレンスでの自分の講演内容を書き出している。以下はそのまとめ。 クルーグマンは、金融改革については以下の6つの視座がある、と述べている。それらはお互いに排他的なものではないが、優先順位の付け方に…

ストレスに対処する51の方法

The Big Pictureより(元はノースウエスタン大学のpdfファイルとの由)。 15分早く起きる 前の晩に翌朝の準備をしておく 日の出を見る 日の入りを見る きつい服は避ける 生活の優先順位を定める ネガティブな人々を避ける 逆さ言葉で誰かにごきげんようと言…

限界税率と課税前所得

マンキューブログの4/14エントリの一つは「ジョン・ゴールトによるゲストエントリ(A Guest Post from John Galt)」と題されている。ただ、ジョン・ゴールトというのはアイン・ランドの小説の主人公の名前なので、これはマンキュー自身の書いたものと考えて…

シンクタンクなんかいらない?

Economist's ViewのMark Thomaが珍しく感情的なまでの批判を行なっている。その槍玉に挙がったのは米国のシンクタンク。 I think these organizations -- think tanks -- have done great damage to economics. We hurt ourselves enough with the events le…

景気後退終了日付判定見送りの内幕

既に報じられている通り(例えばここ)、NBER(全米経済研究所)の景気循環日付判定委員会は、4/12に、今回の景気後退終了時期の判定を見送るという声明を発表した。委員会のメンバーであるジェフリー・フランケルが、同日にブログでその内幕について書いて…

数学が金融危機を引き起こした意外な経路

Economist's ViewのMark Thomaがmoney watchに面白いことを書いているので、以下に訳してみる(原題は「How Mathematics Might Have Caused the Financial Crisis」)。 One of the ways in which mathematics might have helped to cause the financial cri…

ロドリック「産業政策の復権」

ダニ・ロドリックがProject Syndicateに「The Return of Industrial Policy」と題した論説を書いている(Economist's View経由)。そこで彼は、各国の最近の事例を紹介した上で、以下のように書いている。 The shift toward embracing industrial policy is …

追い詰められているのは日本?それとも米国?

ワシントンブログが「世界第二の経済は追い詰められているのか?(Is the World’s Second Biggest Economy On the Ropes?」と題した4/11エントリで日本の公的債務問題を取り上げている。ただ、エントリ本文よりもクロスポストされたzerohedgeでのコメントの…

リチャード・クーvs新貨幣国定主義者

Economist's Viewの4/11エントリでリチャード・クー氏の講演動画にリンクしているが、そこのコメント欄で、Neo-Chartalistによるクー氏評のブログエントリ2つが紹介されていた。 一つは、WCIブログなどに良くコメントしているwinterspeakの1/2エントリ。財政…

【訃報】銅鑼衣紋氏

苺BBSの経済板の総帥であり、本ブログにも何回かコメントを頂いた銅鑼衣紋氏が亡くなったという。俄かには信じがたいが、ネットに流れている情報を見ていると間違いないようだ。謹んでご冥福をお祈りしたい。氏が実は岡田靖氏であることは、あるとき何気なく…

マンキュー「経済学の抜本的改革は不要」

4/8エントリの脚注で触れたが、マンキューがNYTに掲載された経済学に関する論説に向かっ腹を立てていたので、その3/26ブログエントリを訳してみる。 今日のNYタイムズで、デビッド・ブルックスが経済学について興味深いコラムを書いていた。 このコラムは一…

印象派としてのケインズ経済学

マンキューが4/2ブログエントリでジョン・ヒックスの面白いケインズ経済学評を引用していたので、以下に訳してみる。 "Of all great economists, Mr. Keynes is probably the most Impressionist; the General Theory, in particular, needs to be read at a…

P=NPであることが効率的市場仮説成立の必要十分条件

というタイトルの論文(原題は「Markets are efficient if and only if P = NP」)が少し前のMarginal Revolutionで紹介されていた*1。ただしエントリのURLは「just-dont-claim-i-said-this-was-true」となっており、取り上げたタイラー・コーエン自身は、論…

経済学者から経済学の議論をもぎ取る

というのが昨日のエントリで紹介したアベント記事で引用されたジャスティン・フォックスのブログエントリのタイトル(原題は「Wresting the Economic Debate Away from the Economists」)であるが、そちらも面白いので、以下に訳してみる*1。 デビッド・ブ…

数学なんかいらない?

EconomistのFree Exchangeでライアン・アベントが面白い記事を書いていたので、以下に訳してみる(…4/1付けだが、エイプリルフールネタではないと思う、多分)。 ジャスティン・フォックスが看破した。 アカデミックな経済学論文の基本的な形式は、最初に理…

バーナンキ背理法批判へのバーナンキからの“回答”

昨日結論部だけを訳した2003/5/31のバーナンキ日本講演であるが、「リフレと金融政策」で既に高橋洋一氏による訳が出版されていることに気付いた。また、その中に、最近の池尾和人氏や岩本康志氏の疑問に対する7年前のバーナンキからの回答と読める箇所があ…

バーナンキ「デフレを軽視するのは誤り」

バーナンキの2003/5/31の日本金融学会2003年度春季大会での講演「Some Thoughts on Monetary Policy in Japan」をFRBのHPで見つけたので、結論部を訳してみる。池田信夫氏のいわゆる教科書的理解と対比させてみるのも面白いかもしれない。 The Bank of Japan…

日本がアルゼンチン・タンゴを踊る日?

日本の現在の債務状況から、現状のデフレがいずれインフレに転化するという議論がある(というか、その見方は世間で大勢を占めていると言って良いだろう)。問題は、そのインフレへの転化がある程度制御された形で起き得るのか、それともその転化を制御する…

4%のインフレ目標では充分でない?

少し前にブランシャールらの4%のインフレ目標の提言が話題を集めたが、実際に90年代の日本で4%のインフレ目標を適用したらどうなっていたか、という研究が約1ヶ月前にvoxeuに投稿されていた。著者はIMFのダニエル・リー(Daniel Leigh)*1。 リーはまず、199…

コント:ポール君とグレッグ君(2010年第4弾)

今回は、第二弾と逆に、クルーグマンからマンキューへの一方通行に終わっている(…少なくとも今のところは)。 ポール君 デロング経由でグレッグ君がナローバンキングを支持していることを知った。預金に対応する資産を全て流動性の高い短期の資産にして、金…

文部科学省が大学の経済学部課程に必修科目を追加

文部科学省は、脱ゆとり教育の一環として、大学のカリキュラムについても指導を行なうことになった。まず、経済学部を対象に、新たに必修科目を追加する。 追加される科目は「反実仮想学習(仮)」。文部科学省が先に実施した調査では、日本の経済学が欧米に…