2010-06-01から1ヶ月間の記事一覧

リッチモンド・ハイ

kmoriさんや本石町日記さんのツイッターでつぶやかれているように、リッチモンド連銀のエコノミストが、「経済素人うぜえ」的な論説をグーグルドキュメント上のpdfファイルという形でネットに公開して*1、米ブログ界はちょっとした騒ぎになった。おそらく気…

“ハァ?!”シリーズ:グレッグ・マンキューの言っていることわけワカメwww

デロングがそう書いている(原題の「Department of "Huh?!" Greg Mankiw Is Not Making Any Sense...」を少し超訳)。 彼の嘲笑の対象となったのはマンキューがNational Affairsに寄稿した論説(内容はここで紹介した昨年12月のセントルイス連銀での講演に近…

エルンスト・フェール:いかにして私は経済学の誤りを発見したか

先月初めにニューサイエンティスト誌のサイトに表題の記事が掲載された(Economist's View経由;原題は「Ernst Fehr: How I found what's wrong with economics」)。今は当該サイトではペイウォールの向こうに行ってしまったために記事全文が読めなくなって…

自分を大物と思うなかれ

以前、サミュエルソンが死去した際のクルーグマンの追悼文を抄訳したことがあったが(その後、VOXウォッチャーさんが全訳された)、2ヶ月半前の追悼式に際してクルーグマンが改めて追悼の辞を述べている。その後半部分が、経済学者のみならず一般の人々への…

フラッシュ・クラッシュは仕掛けられたのか?

Nanexという株価(ならびにオプション・先物価格)データフィードのベンダーが、自社に蓄積されたデータを生かして、5月6日に発生した米国株急落(瞬時急落=フラッシュ・クラッシュと称される*1)の分析を行っている(Marginal Revolution経由)。 分析の概…

ニューケインジアンはティンカーベルの夢を見るか?

昨日に続きSF小説ネタのタイトルを付けてしまったが、ここで紹介したティンカーベル論争に触発されて、Nick Roweがニューケインジアンモデルについて以下のような疑問を投げ掛けている。 Roweの疑問 ニューケインジアンでは、オールドケインジアンのIS曲線を…

波が風を消す

少し前に、将来の金融政策に対する予想によって現在の金融政策の効果が決まってしまうというならば、現在の財政政策についてもそれは当てはまる、というサムナーの主張を紹介した。その主張についてサムナーが6/20のブログエントリでもう少し敷衍しているの…

人々を最も困惑させた10の科学的発見

表題の記事がスミソニアンのHPに掲載されていた(原題は「The Ten Most Disturbing Scientific Discoveries」;The Big Picture経由)。その10の発見とは以下の通り。 地球は宇宙の中心では無かった コペルニクスの発見から400年以上経つが、この考えは未だ…

バーナンキは間違っていたか?

少し前のvoxeuに、Johanna Mollerstromによる「The source of the global trade imbalances: Saving glut or asset price bubbles?」という記事が上がっていた。以下はその冒頭部。 In 2005 Ben Bernanke gave two influential speeches where he launched t…

インフレコストに対する見方が経済学者と一般の人々で異なる理由

Mostly Economicsで表題のエントリが上がっていた(原題は「Why do economists and ordinary people differ on the costs of inflation?」)。内容はセントルイス連銀のYi Wenによるレポートの紹介*1。 レポートの概要は以下の通り。 一般の人々はインフレを…

少々のインフレか、然らずんば少々の社会主義か

スコット・サムナーが表題のエントリを書いている(原題は「A little more inflation or a little more socialism?」)。以下はその拙訳。 1930年代、右派は、適度なインフレ(物価を大恐慌以前の水準に戻す)と、より社会主義的な社会の間で選択を迫られて…

スポンジボブ・スクエアパンツとアイデンティティの経済学

最近Worthwhile Canadian Initiativeブログに加わったFrances Woolleyが表題のエントリを書いている(原題は「SpongeBob SquarePants and the Economics of Identity」)。以下はその抄録。 SpongeBob SquarePants lives in a pineapple under the sea, make…

アワーレス・リカバリー

昨日に引き続き、米国の景気回復と生産性を巡る話題。 レベッカ・ワイルダーが、今回の景気回復をジョブレス・リカバリーならぬアワーレス・リカバリー(The hourless recovery)と呼んでいる(Angry Bearにもクロスポストされている)。理由は、以下のよう…

生産性とGDPギャップ・再説

昨日紹介したメンジー・チンのエントリに、デビッド・ベックワースが以下のようなコメントを寄せていた。 Menzie:Something that I wrestle with is the question of whether all output gaps (assuming they are measured correctly) are the same. Let me …

GDPギャップあれこれ

Econbrowserのメンジー・チンが「Mind the Gap*1」と題した6/1エントリ*2でGDPギャップについて書いている。内容は基本的にFRBのMichael T. Kileyが書いた論文「Output Gaps」の紹介となっている。 該当論文の要旨は以下の通り。 What is the output gap? Th…

ケチャップ理論

昨日のエントリでEconomist誌のbuttonwoodというブログに触れたが、そこに以下のような記事があった。 SHAKE the ketchup from the bottle/first, a little, then a lottle. We've all struggled to deal with Heinz's best known variety. And the pseudopl…

サックスとサムナーの共通点?

昨日紹介したラジャンの論考に対するクルーグマンの批判では、ジェフリー・サックスも、ラジャンと同様の苦痛を求めたがる心理の持ち主として併せて批判されている。 批判対象となったサックスの論考はこのFT記事(Abetchさんの邦訳はこちら;ハッフィントン…

ラジャンの超低金利政策への疑問

ラジャンが6/10ブログエントリで超低金利政策への疑問点を8つ挙げている。 短期金利を低く抑えることによって長期金利が低下し、企業投資が促進されると言われる。しかし、ゼロ金利から低水準のプラスの金利に引き上げることによってどの程度の追加投資が見…

なぜFRBは仕組みとして優れた中央銀行なのか

セントルイス連銀のジェームズ・ブラード(James Bullard)総裁が表題の理由を5つ挙げている(Mostly Economics経由;原題は「Why the Fed Is a Well-Designed Central Bank」)。 FRBは中央銀行システムである。それはワシントンDCの連邦準備制度理事会と、…

フレディマックとファニーメイは金融危機に責任があるか?

表題の件を巡ってクルーグマンとラジャンの間に論争があった。きっかけは、ラジャンの6/2FT記事。これにクルーグマンが噛み付き*1、それに対しラジャンが最近開設した自ブログで反論した。 okemosさんが指摘しているように、このテーマを巡る米論壇での論争…

ティンカーベル論争

6/7エントリで紹介したコーエンのエントリを巡って、サムナーとMark Thomaの間に論争が巻き起こった。 きっかけは、コーエンが金融政策を財政政策より好むと書いたことについて、Thomaが次のように述べたことにある。 As for Tyler's (and others') call for…

フリードマン「中央銀行に独立性は必要ない」

Mostly Economicsでフリードマンの中央銀行の独立性に関する意外な見方が紹介されている。 ソースは、影の公開市場委員会(Shadow Open Market Committee=SOMC)*1の文書サイトにあるアンナ・シュワルツの小論。 It may be of some surprise that Milton Fr…

政府プロジェクトのハードル・レート?

昨日紹介したタイラー・コーエンの記事を巡って、デロングとコーエンの間で軽い論争があった。 コーエンのエントリを取り上げたデロングの5/31エントリには、「タイラー・コーエン、貴殿の内なるケインジアンは行方不明か…(Tyler Cowen: Your Inner Keynesi…

コーエン「総需要喚起策の総論は賛成、実効性と実行可能性は疑義あり」

6/1エントリで触れたが、タイラー・コーエンが5/31エントリで総需要喚起政策への支持を表明している。しかし同時に、その効果への疑問も拭いきれない、ということも述べている。その点では、昨日紹介したEdward L. Glaeserや、5/30エントリで取り上げたAndol…

我々が知らないこと、そしておそらくは知り得ないこと

Edward L. GlaeserがEconomixに表題のエントリを書いていたので、以下に抄録で紹介する(原題は「What We Don’t Know, and Perhaps Can’t」)。 What have we learned from this recent recession?We have been reminded that the global economy is fragile…

経済学者のコンセンサス

昨日のエントリに書いたように、経済学を巡る議論では、しばしば経済学者の「コンセンサス」や「標準的見解」をデウス・エクス・マキナよろしく持ち出して、それに反しているからお前は間違いだ、という形で決着を図ろうとする人が多い。しかも、良く聞いて…

主流派経済学者の不寛容

okemosさんが訳されたNick Roweのエントリに事寄せて、アーノルド・クリングが5/21エントリで次のように書いていた。 I too am struck by the rapid change in macroeconomic orthodoxy. A few years ago, pretty much everyone said that monetary policy c…

コチャラコタは勉強不足か?

一昨日のエントリの脚注で簡単に触れたが、デロングがコチャラコタを批判したエントリを書いているので、以下に簡単に紹介する。 デロングが槍玉に挙げたのは、本ブログでも5/22に紹介したコチャラコタ論考の冒頭の一節。 I believe that during the last fi…

中央銀行の独立性に関する3つの教訓

Mostly Economicsで、Michael Bordoというラトガース大学教授が書いた小論が紹介されている。そこでBordoは、1694年から1914年のイングランド銀行、および、1914年から2009年のFRBの歴史を俯瞰した上で、中央銀行の独立性に関する以下の3つの考察を引き出し…

レーガノミックスは経済成長をもたらしたか?

サムナーとクルーグマンがレーガン時代の改革を巡って軽く火花を散らした。両者の言い分を簡単にまとめると以下の通り。 クルーグマン([http //krugman.blogs.nytimes.com/2010/05/23/the-bestest-generation/:title=5/23補足]):レーガン政権時代に新自由…