2009-06-01から1ヶ月間の記事一覧

コント:ポール君とグレッグ君(2009年第6弾)

いや、確かに今年は2人のブログでのピンポンが見たいと言ったけどさ…。 ここでもそう書いたけど、今回のもコントという平和なものでは最早無いわな。 ポール君 医療サービスはサクランボでもミルクでもパンでもないんだけどね。ジョージ・ウィルとグレッグ君…

サムナー「日銀は金融経済学を理解していないか、-1%のデフレを政策目標に置いているかのどちらかだ」

20日のエントリでWCIブログコメント欄での小生とサムナーのやり取りについて書いたが、実はその後もやり取りを続けていた。どうも彼のケインズならびにクルーグマンの理解に納得できなかったので、小生がコメントを続けたのに対し、サムナーも根気良く応答し…

マンキューの医療費論

マンキューが公的保険反対の論説をNYTに書いた(彼のブログエントリ経由)。その主張は大まかに言って2点ある。一つには、税金をバックにした公的保険と民間保険とではフェアな競争にならない、ということ。もう一つは、公的保険が独占的な買い手として振舞…

ガワンデ「医療費の謎」

23日のエントリには情報提供のコメントを幾つか頂き、感謝の至りである。小生はそれらについての見解を述べるほどの識見を持ち合わせていないので、とりあえず最初のkmoriさんのコメントにはクルーグマンが推奨したアトゥール・ガワンデ(Atul Gawande)*1の…

クイギン「はい、リアル・ビジネス・サイクル理論も論破」

豪州の経済学者ジョン・クイギンの「論破された/時代遅れになったドクトリン(Refuted economic doctrines)」シリーズの9本目が出た(自身のブログエントリはこちらで、集団ブログCrooked Timberの同内容のエントリはこちら。ちなみに、前回(8本目)のテ…

サミュエルソン「フリードマンの考えは変だった」

The Atlanticでのポール・サミュエルソンのインタビュー記事が話題を呼んでいる(PART1、PART2)。以下では個人的に目についたところを拾ってみる。 [マンキュー、バーナンキ評] So is it time for the Keynesians to declare victory? *1 Well I don't ca…

日本は現金を廃止すべきか?

というタイトル(「Should Japan abolish currency?」)のエントリがMarginal Revolutionに立っていた。内容は、「デフレ退治のため、現金を廃止せよ。日本はSFを現実化できるか?(To fight deflation, abolish cash. Could Japan make reality of ‘science…

フリードマンの医療保険論

最近景気の見通しが落ち着いてきたせいか、クルーグマンもマンキューもブログでヘルスケア問題に目を向けているようだ(そのため昨日紹介したような軽いつばぜり合いが起こった)。当然ながらクルーグマンは公的保険マンセー、マンキューは反対なわけだが、…

コント:ポール君とグレッグ君(2009年第5弾)

マンキューがクルーグマンに噛み付いた第4弾を紹介して間もないが、今度はクルーグマンがマンキューに噛み付いた。テーマはやはりヘルスケア問題。 グレッグ君 少し前に公的保険が国際競争に役立つという話のまやかしについて書いたけど、もう一つの良く取り…

公的保険制度と国際競争力

少し前に、オバマ政権の経済チームの内幕を描いたNYT記事が話題になった(6/8付け)。「日暮れて途遠し」さんブログで翻訳(ここ、ここ)も出ている。この記事では、やはりサマーズが中心になっている。個人的に印象に残ったのは、以下のエピソード(訳は「…

サムナー「流動性の罠なんてものは存在しない」

Nick Roweが貨幣数量方程式を取り上げた6/15WCIブログエントリにスコット・サムナーが寄せたコメントについて、ケインズの一般理論の15章を引用して小生がコメントしたところ、突然サムナーが猛反発したので驚いた。具体的には、MV=PY式における貨幣の流通速…

サムナー「クルーグマンよ、もっと怒れ」

Econlogでブライアン・キャプランが引用しているスコット・サムナーのブログエントリが面白い。特にクルーグマンについて書かれた部分が面白いので、以下に紹介する。 Krugman doesn't really believe in the liquidity trap.Many Keynesians assume that mo…

コント:ポール君とグレッグ君(2009年第4弾)

先日こちらのエントリにJD-1976さんからトラックバックを頂き、そちらに“「端倪すべからざるブロガー」(若田部教授の解説より)”という記述があって何のこっちゃと思っていたのだが、本当にこの本の巻末の解説で小生のことをそう紹介されていた。恐縮の至り…

カナダからのブログ・流動性の罠におけるフィリップス曲線

「Canucks Anonymous」エントリ紹介シリーズの9回目(取りあえず最終回)。今日は6/1エントリ。 流動性の罠におけるフィリップス曲線 本エントリではフィリップス曲線を論じるが、独立した単独の式としてではなく、他の均衡関係とどのように相互作用するかを…

カナダからのブログ・流動性の罠のもとでは投資は公共財となる

「Canucks Anonymous」エントリ紹介シリーズの8回目。今日は5/27エントリ。 流動性の罠のもとでは投資は公共財となる 本エントリは、直近2つのエントリ(ここ、ここ)の続きである。ここで想定しているのは、自然利子率がマイナスだが、期待インフレが十分…

カナダからのブログ・オイラー式と流動性の罠

「Canucks Anonymous」エントリ紹介シリーズの7回目。今日は5/26エントリの2つ目。 オイラー式と流動性の罠 本エントリは、直近のエントリの続きである。 自然利子率というのは、完全雇用下の実質金利である。この金利は、消費のオイラー式と、投資における…

カナダからのブログ・消費のオイラー式の解説

「Canucks Anonymous」エントリ紹介シリーズの6回目。今日は5/26エントリで、ここではAdam P氏の考えの根幹にある消費のオイラー式が説明されている。 消費のオイラー式の解説 消費のオイラー式は、効用が最大化された状態では二財の限界効用の比は価格比に…

カナダからのブログ・貨幣のミクロ的基礎

「Canucks Anonymous」エントリ紹介シリーズの5回目。今日は5/20エントリの2つ目。 貨幣のミクロ的基礎 本エントリは、前のIS-LMエントリの続きで、貨幣供給増加の効果の2つのバージョンを論じる。一つは私の見方で、大雑把に言って、キャッシュ・イン・アドバ…

カナダからのブログ・IS-LM解説

「Canucks Anonymous」エントリ紹介シリーズの4回目。今日は5/20エントリ。 IS-LM解説 このエントリの目的は、私の理解している形でIS-LMモデルを説明することにある。それと共に、以降のエントリで予定している私とNick Roweの貨幣理論のミクロの基礎に関す…

カナダからのブログ・なぜ投資ブームの後に流動性の罠が続くのか?

「Canucks Anonymous」エントリ紹介シリーズの3回目。今日は5/18エントリ。 なぜ投資ブームの後に流動性の罠が続く傾向があるのか? 直近のエントリでは、マイナスの自然利子率が流動性の罠に転じることに関する私の見方を紹介した。その中で、マイナスの自…

カナダからのブログ・流動性の罠と流動性

昨日に続き、「Canucks Anonymous」のエントリを紹介する。今日は2回目の5/15エントリ。 流動性の罠と流動性の関係とは? このエントリの目的は、流動性の罠と金融政策の関係についての私の見方を論じることにある。以下では、自然利子率がマイナスであるこ…

カナダからのブログ・自然利子率がマイナスになるとき

Worthwhile Canadian Initiativeというカナダのブログについては本ブログでもこれまで何回か紹介してきたが、その執筆者の一人であるNick Roweが、少し前に、流動性の罠やマイナス金利に関係した一連の考察を書いていた。 5/2:Why an excess demand for mone…

マクロ経済学にミクロの基礎付けが必要なんて誰が言った?

Freakomonicsのスティーブン・レヴィットがマクロ経済学について書いている。内容的にはつとに耳にする話であるが、よくまとまっているので以下に紹介する。 In a reasonably interesting Guardian article, Larry Elliott argues that the macroeconomists …

地理的条件と経済成長・続き

5/31のエントリで最近再燃したサックスとイースタリー間の開発経済を巡る論争を紹介したが、イースタリー自身が自らのブログでまとめエントリを起こしている。 このエントリのタイトルは「血まみれの自動車事故レベルのトラウマを生んだサックスとの論争をど…

金融危機は潜在GDPを低下させるか?

Econbrowserの5/18エントリで、メンジー・チンが表題のテーマについてのOECD論文を紹介している。 その論文によると、 1960-2007年のOECD諸国を対象に実施した研究によると、金融危機は潜在GDPに恒久的なマイナスの効果を与える。 その程度は、平均して1.5-2…

労働市場の帰結としての囚人

先週、欧米の失業率を巡るブライアン・キャプランとジョン・クイギンの賭けを取り上げたが(ここ、ここ、ここ)、クイギンが5月末にその補足とも言うべきエントリ「労働市場の帰結としての囚人(Incarceration as a Labor Market Outcome)」を書いている。 …

米国のGDIとGDP

Economist's View、News N Economics経由で、米国のGDPとGDIを比較したグラフを見つけた。これを見ると、実質GDIの方が実質GDPに比べ2008年第4四半期に大きく落ち込んでいるが(-8.2% vs -6.3%)、2009年第1四半期の戻しも大きい(-3.7% vs -5.7%)。 当該エ…

ちきりん氏の分析は妙ちきりん?

おちゃらけ社会派を自称するアルファブロガーのちきりん氏の様々な分析は、はてな界隈で多くの注目を集めているが、その中でも「正社員ポジションはどこへ?」と題された昨年8月3日エントリは、自身最高数の約800のはてブを集めている。 確かにその分析内容…

多産多死から少産少死へ?

一昨日紹介したサックスの論説に考えさせられる一節があった。 Americans are predisposed to like the anti-aid message. They believe that the poor have only themselves (or perhaps their governments) to blame. They overestimate the actual aid fr…

サックスとマラリア

昨日のエントリに頂いたコメントを読んで、サックスが考えているマラリア対策について少し調べてみたので、簡単にまとめておく。 kmori58さんは、「薬を塗った蚊帳は効果的ですが、高価なのですべてのアフリカ人に行きわたらせるのは難しい」と書かれたが、…