米国のGDIとGDP

Economist's ViewNews N Economics経由で、米国のGDPとGDIを比較したグラフを見つけた。これを見ると、実質GDIの方が実質GDPに比べ2008年第4四半期に大きく落ち込んでいるが(-8.2% vs -6.3%)、2009年第1四半期の戻しも大きい(-3.7% vs -5.7%)。
当該エントリを書いたテキサス州立大のデビッド・ベックワース准教授は、GDPよりGDIの方が景気の転換点をうまく捉えられるという以前のジェームズ・ハミルトンのエントリならびにそこで紹介されたFRBの研究を引いて、これは景気にとって良いニュースなのではないか、とコメントしている(ただしFRBの研究はあくまでも景気後退の転換点についてなので、それが景気の谷についても言えるのであれば、という条件付きだが)。


GDPとGDIについては、本ブログでも以前取り上げたことがあった。そこに書いたように、日本やカナダの定義では実質GDI=実質GDP+交易利得なので、最初、上記の差も交易利得の影響なのだろう、と単純に受け止めたが、リンク先のハミルトンのエントリを読んで自分の勘違いに気づいた。どうも米国ではBEA自身は実質GDIを発表しておらず、ここで言う実質GDIは、研究者が自分で名目GDIを実質GDPデフレータでデフレートしたものらしい。名目GDPと名目GDIは理論上は一致するので、本来は差は出ないはずだが、支出ベースで測るか所得ベースで測るかの違いにより、どうしても統計上の誤差が出てしまう。その誤差が景気に対し予測力を持つのではないか、ということのようだ。