日本は現金を廃止すべきか?

というタイトル(「Should Japan abolish currency?」)のエントリがMarginal Revolutionに立っていた。内容は、「デフレ退治のため、現金を廃止せよ。日本はSFを現実化できるか?(To fight deflation, abolish cash. Could Japan make reality of ‘science fiction’?)」と題された6/19付けタイムズオンライン記事へのポインタ。


そちらの記事では、現金への課税や、円以外の通貨の発行と並んで、現金の廃止が金融当局によって検討されている、と書かれている。現金への課税は深尾光洋氏が以前から主張しているし、円以外の通貨の発行というのは政府紙幣のことだと思うが、現金そのものの廃止が我が国の金融業界で話題になっているとは寡聞にして知らなかった。


3つの案のいずれもマイナス金利実現のための手段として提案されているとのことだが、現金の廃止については、自民党の国会議員の何人かが技術的に可能と考えているほか、マッコーリー証券のシニアエコノミストのリチャード・ジェラム氏も、日本での電子マネーとクレジットカードの普及に鑑みて実現可能と評している、との由。


記事では、6つのキャッシュレス支払いシステムが競争しており、1億2000万のキャッシュレス支払いチップが財布やハンドバッグに存在している状況では、確かに現金の無い経済への移行は可能かもしれない、と書いている。ただその一方で、循環している現金がGDPの16%に上ること(他の先進国では2〜3%)、高齢化する人口が貨幣志向を強めていること、そのため日銀へのデフレ脱却に向けた圧力がそれほど強くないこと、を障壁として挙げている。


この記事のちょうど一ヶ月前(5/19)に、WCIブログで、Nick Roweが、貨幣が無く、皆が巨大e-bayでバーターを行なう経済では需要不足が存在しない、という主旨のエントリを上げていたので、記事のタイミングの良さに驚いた。ただ、現金が無い国というと、小生はどうしてもポルポト時代のカンボジアを連想してしまうのだが…。



[追記]
池田信夫氏も同記事を取り上げた。氏も初耳とのことだ。