科学

インターネットが技術革新を阻害している

SF作家のニール・スティーヴンスンがMITでの講演でそう述べたという。ジャスティン・フォックスの報告によると: A hundred years from now, he said, we might look back on the late 20th and early 21st century and say, "It was an actively creative s…

福島第一による原発事故発生確率のベイズ更新

について世上どのような考察がなされているか知りたいとふと思い、ぐぐってみたところ、このパワーポイントに行き当たった*1。書いたのはFrancois LevequeとLina Escobar。著者のうちLevequeはCERNA(Centre d'Economie Industrielle MINES ParisTech=パリ…

ベル研を復活させよ

今やイノベーションの手本と言えばシリコンバレー、というのが通説になった感がある。しかし、敢えてその風潮に異を唱え、かつての独占企業による研究所こそがイノベーションの母体になるのではないか、とThe Deal誌編集長のRobert Teitelmanが書いている(…

カリブレーションの海賊

アンドリューゲルマンブログで、ゲルマンの共同ブロガーのBob CarpenterがあるScientific American記事に対し、極めて感情的な反発を示した(Economist's View経由)。 それによると、Jonathan Carterという地球物理学者が、単純な油井モデルでデータを生成…

言葉の壁は大学ランキングに影響している?

一昨日のエントリで紹介した2枚目のグラフ(世界ランキング上位50大学を分野ごとに国別の校数を示したグラフ)について、Economix記事のコメントに以下のようなものがあった。 I think there is a pretty obvious bias in this data: language. I have worke…

専門家を信頼すべき時

ディスカバー誌でショーン・キャロル(Sean Carroll)が表題の件について以下のように論じている(ノアピニオン氏経由)。 when should, in completely general terms, a non-expert simply place trust in the judgment of an expert? I don’t have a very …

第一種過誤を恐れる物理学者、第二種過誤を恐れる経済学者

CERNが光速を超えるニュートリノを観測したという今話題の発見に事寄せて、Econospeakでピーター・ドーマンが経済学者と物理学者の統計的過誤への態度の違いについて論じている。 以下はその概要。 今回のOpera(Oscillation Project with Emulsion-Tracking…

米国の宇宙計画を巡るなかなか消えない10の神話

という記事をスミソニアン誌が掲載している(原題は「Ten Enduring Myths About the U.S. Space Program」;The Big Picture経由)。以下はその概要。 月着陸競争の際、米国の宇宙計画は幅広い熱狂的な支持を受けた 世論調査によれば、1960年代を通じて、米…

有意と非有意の差は有意とは限らない

アンドリュー・ゲルマンの9/9ブログエントリと、同日付けガーディアン紙記事( Chris Blattmanブログ経由)が同じ論文を取り上げている。 その論文の内容とは、 ある効果が5%水準で有意 別の効果は5%水準で非有意 よって2つの効果は異なる という誤った推論*…

アローのもう一つの定理

昨日に続きアロー絡みの話であるが、アンドリュー・ゲルマンが最近のエントリでリンクした自身の半年ほど前のエントリより。 One day in graduate school, my friend Tex asked me if I knew what Arrow’s Theorem was. I said, yeah, it’s something about …

東日本大震災で回避されたこと

Mostly EconomicsでCity JournalにClaire Berlinskiが書いた記事が紹介されていた。冒頭では阪神大震災と比較した東日本大震災に対する彼女の評価が記されている。正直なところ小生にはその評価が正しいのかどうか判断が付きかねるが、以下に訳してみる。 地…

否定的結果の論文誌

何だかThe Unbirthday Songのような逆説的な感を受けるが、否定的結果を出した論文を集めた学術誌についてFrances WoolleyがWCIブログに書いている。 そのエントリの冒頭に取り上げている「European Journal of Negative Research Findings」は「The Laurie …

スマート過ぎるスマート・グリッド?

についてMITの研究者が論文を書き、その概要がMITのサイトに掲載されている(後者[正確にはこのバージョン]は既に邦訳されている)。エコノブロゴスフィアではScientific American経由でEconomist's Viewが取り上げ、それにさらにKnowledge Problemという…

料理と温暖化の関係

以前、発売前の「超ヤバい経済学」に対する批判を紹介した際、ネイサン・ミルボルトの話に触れた。彼は温暖化問題において地球の反射能(アルベド)に着目しており、そのためにソーラーパネルの色を槍玉に挙げたり(黒くて熱を吸収してしまう!)、成層圏に…

原発事故と金融危機の共通点

ティム・ハーフォードが原発事故――ただし福島ではなくスリーマイルのケース――と金融危機との共通性について語っている(The Big Picture経由)。 ...as I read Perrow’s book, I realised that it could have been written about the financial crisis. That…

経済学は何の役に立つのか?

昨今の経済学は科学か?という論争に絡めて、Mark ThomaがHal Varianの「What Use is Economic Theory?」と題された1989年の論文を紹介していた。以下はその概要。 経済学理論を審美的な観点から捉える人もいるが、そうした観点だけでは経済学理論というもの…

生物学を巡る経済学者の誤解

昨日紹介したAdam Ozimekのエントリでは、Russ Robertsが1月に書いたブログエントリを議論の出発点にしていた*1。しかし、そのRobertsのエントリは、ScienceBlogsの「Mike the Mad Biologist」によってかなり手厳しく批判されている(H/T Econospeak)。以下…

経済学は科学か?

という議論がここ1週間ほど欧米ブロゴスフィアを賑わせている。きっかけは、Modeled BehaviorのAdam Ozimekのこのエントリらしい(ただ、このエントリも、その前の晩のTwitter上の議論を受けたものとの由)。 結構長いエントリだが、ごく簡単に要点をまとめ…

ずっとずっと前にはもうアポロ11号は月に行ったっていうのに…

昨日紹介したInterfluidityへのIndyというコメンターのコメントの中に、「causal density」という言葉があった。ぐぐってみると、Jim ManziがCity Journalに書いた記事を紹介するブログがトップに表示された。そこで、今日はそのManzi記事を簡単に紹介してみ…

軍のプロジェクトと進化生物学

昨日のエントリの最後で紹介した従軍経験を持つコメンターのコメントから、軍における開発プロジェクトについて触れた部分を紹介してみる。 You often hear about all the horrible waste and “dead-end projects” in the military, but the truth is, there…

ドナルド・ダックたちの宴

経済政策を巡る論議は、自然科学と違い、実験で決着するわけにはいかないので、ある経済政策を推進する主張と、それに対する懐疑論との応酬が延々と続く、という光景をしばしば目にする。もちろん最近は実験経済学といった手法も出てきてはいるが、それで決…

中国当局はベイズ統計がお嫌い?

昨日に続き今日もアンドリュー・ゲルマンのネタ。 ゲルマンの1/10ブログエントリによると、彼の以下の本の中国語版の出版が差し止め処分を受けたという。Data Analysis Using Regression and Multilevel/HierarchicalModels (Analytical Methods for Social …

統計と数学の違い

Mostly Economicsがアンドリュー・ゲルマンのインタビューを紹介していた(なぜかソースが記述されていなかったが、ぐぐってみるとゲルマンが統計に関する推薦図書を5つ挙げたThe Browserというサイトだった)。 その中の統計と数学の違いに触れた部分が面白…

減衰する真実

というニューヨーカー記事がアンドリュー・ゲルマンのブログで紹介されていた(原題は「The Truth Wears Off」;日本語ブログではこちらのブログで紹介されている)。記事では、以前の実証研究では確かに存在すると思われた効果が、その後に再度同じ実証研究…

もしも電子に感情があったなら…

物理学はどんなにか難しかっただろうか、とかつてファインマンが述べたという(「Imagine how much harder physics would be if electrons had feelings!」)。この言葉は、アンドリュー・ロー(Andrew Lo)とマーク・ミュラー(Mark Mueller)が書いた論文…

世界の頭脳が集まるところ

を地図化した記事がThe Atlanticに掲載されていた(原題は「Where the World's Brains Are」;Economix経由)。書いたのはリチャード・フロリダ(Richard Florida)で、同氏率いるCreative Class Group社のサイトにもクロスポストされている。 以下がその地…

帰無仮説下でのデータの生起確率と帰無仮説の確率

アンドリュー・ゲルマンが、英国心理学会(The British Psychological Society)の研究ダイジェストブログのある記事にいたく失望させられた、と書いている*1。 その記事にゲルマンが失望した理由は、統計的検定に関する基礎的な間違いを犯しているからであ…

人々を最も困惑させた10の科学的発見

表題の記事がスミソニアンのHPに掲載されていた(原題は「The Ten Most Disturbing Scientific Discoveries」;The Big Picture経由)。その10の発見とは以下の通り。 地球は宇宙の中心では無かった コペルニクスの発見から400年以上経つが、この考えは未だ…

クライメートゲート事件と筑波大事件の奇妙な符合

最近世間を騒がせているクライメートゲート事件に関する記事を読んでいて、拙ブログで少し前に取り上げた筑波大プラズマ研究改竄事件となんか似ているな、と思ったので、以下に気が付いた共通点を思いつくままに挙げてみる。なお、あくまでも素人による感想…

科学と非科学の境目

先週の土曜日にたまたまTBSの報道特集NEXTを見て、昨年の筑波大学での大学教授解雇事件が問題になっていることを知った。 事の経緯は、長照二プラズマ研究センター長がフィジカル・レビュー・レターに投稿した論文に関し、データの改竄があったのではないか…