についてクルーグマンがブラックジョーク的な話を連ツイの中で紹介している。
I've been getting some pushback over my dismissal of "contactless" disinflation here, mainly involving tales of nations with very high inflation that brought it down quickly after some kind of monetary reform 1/
But those examples aren't very relevant. In contemporary America, price and wage setters (as opposed to investors) don't watch the Fed closely, because they haven't had to. 18 months of core inflation >5% wasn't enough to change that 2/
Things are very different in countries with triple-digit inflation, where the whole dynamics change: prices are reset much more often, and everyone is forced to pay attention to monetary policy 3/
I still remember the relatively painless Israeli disinflation of 1985, which followed the extremely painful Volcker disinflation here 4/
Some of us used to joke that the easiest way to bring down moderate inflation was to turn it into hyperinflation, to get people's attention; then stabilizing prices became much easier 5/
Not, of course, a serious recommendation. But monetary policy works very differently in countries where inflation is typically low enough that normal people don't have to think about the central bank 6/
(拙訳)
「非接触型」ディスインフレを退けたこの論説が一部の反論を招いている。その反論の大半が、非常に高いインフレに陥った国が何らかの貨幣改革を行ってインフレを急速に引き下げた、という話を持ち出している。
www.nytimes.com
しかしそうした事例は今の状況とあまり関係無い。現在の米国では、価格と賃金の設定者は(投資家と違って)あまり熱心にFRBを観察していない。というのは、これまでその必要が無かったからである。コアインフレが18か月5%を超えてもその状況を変えるには至らなかった。
3桁のインフレの国では話が全く違う。そこでは動学全体が変わってくる。価格はより頻繁に改定され、皆が金融政策に注意を払うことを余儀なくされる。
1985年の比較的苦痛の少なかったイスラエルのディスインフレのことを私は未だに覚えている*1。それは、当地での大いなる苦痛を伴ったボルカー・ディスインフレの後に起きた。
そこそこのインフレを引き下げる最も簡単な方法は、人々の注目を集めるため、それをハイパーインフレにすることだ、という冗談を言っていた経済学者がいる。そうすれば物価を安定化させるのはかなり容易になる、というわけだ。
もちろん真面目な提案ではない。だが、通常時のインフレが低いため、普通の人々が中銀について考えなくて良い国では、金融政策の働きは全く違ってくる。
ちなみにここで引かれているNYT論説について、同社のツイートは以下のように概説している。
Economics is about what people do, writes @PaulKrugman. When you make an argument about the effects of economic policy, you should have at least some plausible story about how the policy affects the behavior of specific people.
(拙訳)
経済学は人々が何をするかについての話だ、とクルーグマンは書いている。経済政策の効果について論じる時、少なくともその政策が特定の人々の行動にどのように影響するかについて何らかの説得力のある話を用意しておく必要がある。
即ち、「クルーグマンのインフレ/ディスインフレ論 - himaginary’s diary」で紹介したディスインフレのメカニズムについてのクルーグマンの見解を改めて表明したもののようである。
*1:クルーグマンは「集団合意形成の失敗としてのインフレ - himaginary’s diary」で紹介したツイートでもそのエピソードを引き合いに出している。