言説、義務的規範、および道徳的思考

というNBER論文をジャン・ティロールらが書いているungated版初期版)。原題は「Narratives, Imperatives, and Moral Reasoning」で、著者はRoland Bénabou(プリンストン大)、Armin Falk(ボン大)、Jean Tirole(トゥールーズ・スクール・オブ・エコノミクス)。
以下はその要旨。

By downplaying externalities, magnifying the cost of moral behavior, or suggesting not being pivotal, exculpatory narratives can allow individuals to maintain a positive image when in fact acting in a morally questionable way. Conversely, responsibilizing narratives can help sustain better social norms. We investigate when narratives emerge from a principal or the actor himself, how they are interpreted and transmitted by others, and when they spread virally. We then turn to how narratives compete with imperatives (general moral rules or precepts) as alternative modes of communication to persuade agents to behave in desirable ways.
(拙訳)
言い訳をすることは、外部性を過小に見せかけ、道徳的な行動のコストを誇張、ないし、そうした行動が重要でないと示唆することにより、実際には道徳的に問題のある行動をしている場合においても個人のポジティブなイメージを保持することを可能にする。逆に、責任ある言説は、より良い社会的規範を維持するのに役立つ。我々は、言説がプリンシパルもしくは行動者自身から発せられる時に、それが他者にどのように解釈され伝達され、どのような場合にバイラルに広まるかを調べた。また、我々は、言説と義務的規範(一般的な道徳的規則もしくは指針)が、エージェントを望ましい形で行動させるよう説得するコミュニケーションの別法としてどのように競合するかを調べた。