国有銀行と国際的なショックの伝播

というECB論文をMostly Economicsが紹介している。原題は「State-owned banks and international shock transmission」で、著者はMarcin Borsuk(ECB)、Oskar Kowalewski(IESEG経営大学院)、Pawel Pisany(ポーランド科学アカデミー)。 以下はその要旨。…

UIPプレミアムについての5つの事実

というのが前回エントリの最後でリンクした昨年6月のNBER論文のタイトルである。原題は「Five Facts about the UIP Premium」で、著者はṢebnem Kalemli-Özcan(メリーランド大)、Liliana Varela(LSE)。 以下はungated版の導入部に記された5つの事実。分析…

不確実性ショック、資本移動、国際的なリスクの波及

というNBER論文が上がっている(ungated(NY連銀)版)。原題は「Uncertainty Shocks, Capital Flows, and International Risk Spillovers」で、著者はOzge Akinci(NY連銀)、Ṣebnem Kalemli-Özcan(メリーランド大)、Albert Queralto(FRB)。 以下はその…

状態依存性の政府支出乗数:名目賃金の下方硬直性と景気循環変動の源泉

というNBER論文が上がっている(ungated版へのリンクがある著者の一人のサイト)。原題は「State Dependent Government Spending Multipliers: Downward Nominal Wage Rigidity and Sources of Business Cycle Fluctuations」で、著者はテキサスA&M大のYoon …

コロナ禍は学校でのいじめとサイバーいじめを共に中断させた

というNBER論文が少し前に上がっている。原題は「The COVID-19 Pandemic Disrupted Both School Bullying and Cyberbullying」で、著者はボストン大のAndrew Bacher-Hicks、Joshua Goodman、Jennifer G. Green、Melissa Holt。 以下はその要旨。 One-fifth o…

米国のソフトパワーは貿易戦争の犠牲となったのか?

というNBER論文が上がっている。原題は「Is the American Soft Power a Casualty of the Trade War?」で、著者はHaichao Fan(上海財経大学)、Yichuan Hu(同済大学)、Lixin Tang(曁南大学)、Shang-Jin Wei(コロンビア大学)。 以下はその要旨。 The US…

ジョーン・ロビンソンのマルクスについての言葉:「彼の現実感覚は遥かに強力だった」

というJournal of Economic Perspectives論文をMostly Economicsが紹介している。原題は「Joan Robinson on Karl Marx: "His Sense of Reality Is Far Stronger"」で、著者はCarolina Alves(ケンブリッジ大)。 以下はその要旨。 This paper revisits why J…

サイバー攻撃と金融の安定性:ある自然実験の実証結果

というFRB論文をMostly Economicsが紹介している。原題は「Cyberattacks and Financial Stability: Evidence from a Natural Experiment」で、著者はFRBのAntonis KotidisとStacey L. Schreft。 以下はその要旨。 This paper studies the effects of a uniqu…

低金利時代の政府債務と資本蓄積

というNBER論文(原題は「Government Debt and Capital Accumulation in an Era of Low Interest Rates」)をマンキューが上げている(先行して自ブログでungated版にリンクしている)。論文ではまず、実質金利の定常状態の式から、金利の低下トレンドを以下…

欧州中央銀行への直観的な信頼と熟考した信頼

というECB論文をMostly Economicsが紹介している。原題は「Instinctive versus reflective trust in the European Central Bank」で、著者は同行のSiria AnginoとStefania Secola。 以下はその要旨。 Political science research has established that trust…

AIと通常のイノベーションの違い

Joshua Gans(トロント大)が表題の点を追究したNBER論文を2編上げている。一つは「AI Adoption in a Competitive Market」(ungated[SSRN]版)で、その要旨の冒頭でGansは Economists have often viewed the adoption of artificial intelligence (AI) as…

2つのグローバルな金融政策の物語

というBOE論文をMostly Economicsが紹介している。原題は「A tale of two global monetary policies」で、著者は同行のSilvia Miranda-AgrippinoとTsvetelina Nenova。 以下はその要旨。 We compare the macroeconomic and financial spillovers of the unco…

3つの世界戦争:財政・金融への影響

トーマス・サージェントらの表題の論文にタイラー・コーエンがリンクしている。原題は「Three World Wars: Fiscal-Monetary Consequences」で、著者はGeorge J. Hall(ブランダイス大)、Thomas J. Sargent(NYU)。 ここで3つの戦争とは第一次世界大戦と第…

メイド・イン・ロシア? ロシアにおける輸入代替の可能性の評価

というフィンランド銀行の論文をMostly Economicsが紹介している。原題は「Made in Russia? Assessing Russia’s potential for import substitution」で、著者は同行のHeli Simola。 以下はその要旨。 Russia’s brutal military aggression on Ukraine has l…

経済制裁と債務不履行と通貨

ウクライナ侵攻に伴うロシアへの経済制裁の効果ないし影響を扱ったNBER論文が2編上がっている。一つは「On Wars, Sanctions and Sovereign Default」(ungated版)で、著者はJavier Bianchi(ミネアポリス連銀)、César Sosa-Padilla(ノートルダム大)。以…

日米のインフレの違い

についてマンキューとサマーズが言及している。 サマーズは自らリツイートしたブルームバーグTVの5/2ツイートのクリップで以下のように述べている。 I think you're looking at two very different situations in Japan and the U.S. in terms of inflation.…

公平な入学選考を求める学生たちの訴訟が人種選好について明らかにしたこと

ハーバード入試の人種差別を巡る裁判で専門家証人としてデビッド・カードと対決したArcidiaconoが、表題のNBER論文を上げている(ungated版)。原題は「What the Students for Fair Admissions Cases Reveal About Racial Preferences」で、著者はここで紹介…

企業経理の給与ミクロデータを用いた給与保護プログラムの評価

ここで紹介したNBER論文の著者たちが、同じテーマについて企業別の動向を見た表題のNBER論文を上げている。原題は「An Evaluation of the Paycheck Protection Program Using Administrative Payroll Microdata」で、著者はDavid Autor(MIT)、David Cho(F…

カレンシーボードのすゝめ

Mostly Economicsが、スリランカの問題の解決法としてカレンシーボードを提案したAndy Mukherjeeの記事を紹介している。以下はその引用の孫引き。 What was good for Sri Lanka under British colonial rule 75 years ago may be worth a try again. Or at l…

反循環的な金利の因果効果:古典的金本位制での実証結果

というNBER論文が上がっている(ungated版へのリンクのある著者の一人のHP)。原題は「Causal Effects of Countercyclical Interest Rates: Evidence from the Classical Gold Standard」で、著者はKris James Mitchener(サンタクララ大)、Gonçalo Alves P…

パンデミック期の不確実性

以前ここで紹介した論文の続編とも言うべき表題のNBER論文(原題は「Pandemic-Era Uncertainty」)が上がっている。著者は前回の論文の15人のうち次の6人。Brent H. Meyer(アトランタ連銀)、Emil Mihaylov(同)、Jose Maria Barrero(メキシコ自治工科大…

量的緩和の狭い経路:南半球のYCCの実証結果

というNBER論文が上がっている(ungated(NY連銀)版)。原題は「The Narrow Channel of Quantitative Easing: Evidence from YCC Down Under」で、著者はDavid Lucca(NY連銀)、Jonathan H. Wright(ジョンズホプキンズ大)。 以下はその要旨。 We study t…

金融政策サプライズの再評価と高頻度による識別

というNBER論文が上がっている(ungated版)。原題は「A Reassessment of Monetary Policy Surprises and High-Frequency Identification」で、著者はMichael D. Bauer(ハンブルグ大)、Eric T. Swanson(UCアーバイン)。 以下はその要旨。 High-frequency…

グローバル化の反転と金融政策

前回エントリで紹介したトーマス・ジョルダン(Thomas Jordan)スイス国立銀行総裁の講演の前半では、グローバル化の影響について語っている。労働、資本、技術という成長の3つの要素について、それぞれ、国際的な分業、国際的な投資の活発化、知識の交換の…

ウクライナ戦争のスイス国立銀行の金融政策への影響は?

かつて円と共に増価傾向にあったスイスフランが、現在は減価傾向に転じた円と対照的に現在も増価傾向を維持している中、スイスの金融政策をどうするか、についてトーマス・ジョルダン(Thomas Jordan)スイス国立銀行総裁が4/29の第114回株主総会での表題の…

大不況の銀行取り付け騒ぎとしてのモデル化:課題

というNBER論文が上がっている(ungated版へのリンクがある著者の一人のサイト)。原題は「Modeling the Great Recession as a Bank Panic: Challenges」で、著者はLawrence Christiano(ノースウエスタン大)、Hüsnü Dalgic(マンハイム大)、Xiaoming Li(…

米国のインフレはユーロ圏より高いのか?

4/24エントリではファーマンのWSJ論説をきっかけにしたサマーズのツイートを紹介したが、クルーグマンもファーマンの議論(明示していないが、たぶんこれなど)をきっかけに4/24に以下のツイートを行っている。 Hmm. An interesting data puzzle. Jason Furm…

コント:ポール君とラリー君――軟着陸は可能かの巻

主にツイッターを舞台にしたサマーズとクルーグマンのインフレを巡る暗闘をこれまで何度か取り上げてきたが(ここ、ここ、ここ、ここ、ここ、ここ、ここ、ここ)、直近のツイートでサマーズがクルーグマンのツイートを正面から取り上げた。 I am glad to see…

ファーマン「コロナ禍において実質報酬は生産性よりも伸びた」

前回エントリではサマーズのツイートならびにそれをきっかけにしたジェイソン・ファーマンとオースタン・グールズビーのやり取りを紹介したが、その中でグールズビーが「ではなぜ実質生産性を名目報酬の伸びと比べるのか?」と問い掛けた。これにサマーズが…

過熱経済は実質賃金を上昇させない

ということをサマーズがファーマンのWSJ論説にリンクしつつ4/13ツイートで強調している。 @jasonfurman has a smart article making the point that in neither economic theory nor empirical experience does a hot economy produce higher real wages. Th…