暦年齢の限界について

というNBER論文が上がっている(ungated版)。原題は「On the Limits of Chronological Age」で、著者はRainer Kotschy(ハーバード大)、David E. Bloom(同)、Andrew J. Scott(ロンドンビジネススクール)。 以下はその要旨。 Analysis of population ag…

科学的発明の私的価値再訪

というNBER論文が上がっている。原題は「Revisiting the Private Value of Scientific Inventions」で、著者はAshish Arora、Sharon Belenzon、Elia Ferracuti、Jay Prakash Nagar(いずれもデューク大)。 以下はその要旨。 Estimating the private value o…

なぜ南アジア人ではなく東アジア人が米国の指導的な地位において少ないのか

という2020年のPNAS*1論文をタイラー・コーエンが紹介している。原題は「Why East Asians but not South Asians are underrepresented in leadership positions in the United States」で、著者はJackson G. Lu(MIT)、Richard E. Nisbett(ミシガン大)、M…

国際的な覇権国の下での金融財政協調

というNBER論文が上がっている(ungated(SSRN)版)。原題は「Monetary-Fiscal Coordination with International Hegemon」で、著者はXuning Ding(ノースウエスタン大)、Zhengyang Jiang(同)。 以下はその要旨。 Monetary and fiscal policies require co…

産業政策とイノベーション:世界の自動車産業における実証結果

というNBER論文が上がっている(ungated版)。原題は「Industrial Policies and Innovation: Evidence from the Global Automobile Industry」で、著者はPanle Jia Barwick(ウィスコンシン大マディソン校)、Hyuk-Soo Kwon(シカゴ大)、Shanjun Li(コーネ…

米中貿易戦争が北ベトナムの都市の経済成長と環境への取り組みを如何に加速させたか

というNBER論文が上がっている。原題は「How the US-China Trade War Accelerated Urban Economic Growth and Environmental Progress in Northern Vietnam」で、著者はMatthew E. Kahn(南カリフォルニア大)、Wen-Chi Liao(シンガポール国立大)、Siqi Zh…

流動性ショックと企業の輸出:インドの廃貨における現金不足による実証結果

というNBER論文が上がっている(2023年1月時点のWP*1)。原題は「Liquidity Shocks and Firm Exports: Evidence from Cash Shortages during India's Demonetization」で、著者はRitam Chaurey、Ryan Kim、Pravin Krishna(いずれもジョンズホプキンズ大)。…

ミニマム課税の評価

というNBER論文が上がっている。原題は「Evaluating Minimum Taxation」で、著者はJames R. Hines Jr.(ミシガン大)。 以下はその要旨。 Minimum tax rules constrain only the lowest-tax jurisdictions. Because higher minimum tax rates expand the cir…

ECBの気候関連の活動と一般の信頼

というNBER論文が上がっている(ungated版へのリンクがある著者の一人のページ)。原題は「The ECB’s Climate Activities and Public Trust」で、著者はSandra Eickmeier(独連銀)、Luba Petersen(サイモン・フレーザー大)*1。 以下はその要旨。 As centr…

中銀の情報効果か、新フィッシャー効果か?

というNBER論文が上がっている(ungated版へのリンクがある著者の一人のページ)。原題は「Central Bank Information or Neo-Fisher Effect?」で、著者はコロンビア大のStephanie Schmitt-GrohéとMartín Uribe。 以下はその要旨。 The neo-Fisher effect and…

クルーグマン「トランプは貿易赤字を減らせるか?」

前回エントリで紹介したブランシャールとは異なる観点から関税の貿易赤字への影響を考察した表題の記事(原題は「Can Trump Reduce the Trade Deficit?: Paul Krugman」)をクルーグマンが上げている(H/T 本人ツイート)。彼はまず、一般的な見方として、部…

トランポノミクスはどのような結果を出すか?

トランプが掲げる経済政策のうち、関税、不法移民の国外退去、減税の3点の帰結について考察した表題のPIIE記事(原題は「How will Trumponomics work out?」)をブランシャールが上げている(H/T 本人ツイート)。以下はその概要。 関税 中国に60%、欧州に10…

中国ショック再訪:米労働市場における職の再配分と産業の転換

というNBER論文が上がっている(ungated版へのリンクがある著者の一人のページ)。原題は「The China Shock Revisited: Job Reallocation and Industry Switching in U.S. Labor Markets」で、著者はNicholas Bloom(スタンフォード大)、Kyle Handley(UCサ…

規制による価格引き下げの長期的な影響:メディケアの実証結果

というNBER論文が上がっている(ungated版へのリンクがある著者の一人のページ)。原題は「The Long-Run Impacts of Regulated Price Cuts: Evidence from Medicare」で、著者はYunan Ji(ジョージタウン大)、Parker Rogers(インディアナ大)。 以下は著者…

財政赤字とインフレ:HANKとFTPLの出会い

というNBER論文が上がっている(ungated版へのリンクがある著者の一人のページ)。原題は「Deficits and Inflation: HANK meets FTPL」で、著者はGeorge-Marios Angeletos(ノースウエスタン大)、Chen Lian(UCバークレー)、Christian K. Wolf(MIT)。 以…

トランプ当選に対するアセモグルの反応・その3

前々回エントリで紹介したスレッドで予告された通り、アセモグルがトランプ当選の世界への影響について考察したスレッドを起こしている。 And now on global risks. Trump’s effects will not be confined to within the US borders. He will increase uncer…

トランプ当選に対するアセモグルの反応・その2

前回エントリで紹介したスレッドで予告された通り、アセモグルがトランプの政策について考察したスレッドを起こしている。 What about the economy under Trump? I don’t expect great news for workers, and I see big risks from Trump’s overall agenda, …

トランプ当選に対するアセモグルの反応

がX(ツイッター)に投稿されている(H/T タイラー・コーエン)。前回エントリでクルーグマンとブランシャールの反応と併せて紹介しようかと思ったが、かなりの長文なのでこれで一つのエントリとしてみる。 This is a repost of my original thread about Tr…

トランプ当選に対するクルーグマンとブランシャールの反応

X(ツイッター)上でクルーグマンとブランシャールがトランプ当選に以下のような反応を示している。 クルーグマン https://x.com/paulkrugman/status/1854002222805229896 If this goes the way it seems to be going, a plea: Hold the recriminations. The…

変化の風? 母親の労働供給の文化的決定要因

という論文がAEAにアクセプトされている(Mostly Economics経由のVoxEU経由)。原題は「Wind of Change? Cultural Determinants of Maternal Labor Supply」で、著者はBarbara Boelmann(ケルン大)、Anna Raute(ロンドン大学クイーンメアリー校*1)、Uta S…

非伝統的な金融財政政策はコロナインフレ高騰に寄与したか?

というNBER論文が上がっている。原題は「Does Unconventional Monetary and Fiscal Policy Contribute to the COVID Inflation Surge?」で、著者はJing Cynthia Wu(イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校)、Yinxi Xie (カナダ銀行)、Ji Zhang(清華大)…

人々が認識するFRBの政治的偏向

というNBER論文が上がっている(ungated版が掲載されているシカゴ大サイト)。原題は「Perceived Political Bias of the Federal Reserve」で、著者はPei Kuang(バーミンガム大)、Michael Weber(シカゴ大)、Shihan Xie(イリノイ大学アーバナ・シャンペ…

ヒトラーとドイツの石炭産業の実業家:王国への鍵の譲渡

というINET論文をMostly Economicsが紹介している。原題は「Hitler and the German Coal Industrialists: Passing the Keys to A Kingdom」で、著者はKarsten Heinz Schönbach*1。 以下はその要旨。 Ever since the publication of Henry Turner’s German Bi…

トランプが大統領選に勝利した場合の経済的含意に関する金融市場の見方

賭け市場でのトランプの勝利確率を他の経済変数とともにVAR分析に掛けたドイツ連邦銀行の2人の研究者による表題のVoxEU記事をMostly Economicsが紹介している。原題は「What financial markets say about the economic implications of a potential Trump el…

経済についての考え、深い、もしくは浅い?

というジョブマーケット論文を掲載しているサイトにタイラー・コーエンがリンクしている。原題は「Thinking about the Economy, Deep or Shallow?」で、著者はPierfrancesco Mei、Lingxuan Wu(いずれもハーバード大のPhD Candidateで、この論文は後者のジョ…

金融面の高度な知識と銀行の市場支配力

というNBER論文が上がっている。原題は「Financial Sophistication and Bank Market Power」で、著者はMatthias Fleckenstein(デラウェア大)、Francis A. Longstaff(UCLA)。 以下はその要旨。 We study the relation between bank funding costs and the…

政策の反実仮想評価:VARプラス手法

というNBER論文が上がっている(ungated版へのリンクがある著者の一人のページ)。原題は「Evaluating Policy Counterfactuals: A VAR-Plus Approach」で、著者はTomás E. Caravello(MIT)、Alisdair McKay(ミネアポリス連銀)、Christian K. Wolf(MIT)…

気候と紛争の経済学の新たな証拠

というNBER論文が上がっている。原題は「New Evidence on the Economics of Climate and Conflict」で、著者はMarshall Burke(スタンフォード大)、Joel Ferguson(同)、Solomon M. Hsiang(同)、Edward Miguel(UCバークレー)。 以下はその要旨。 We su…

超長期データを使った短期実質金利と期間スプレッドの再考

というNBER論文をケネス・ロゴフらが上げている。原題は「Rethinking Short-Term Real Interest Rates and Term Spreads Using Very Long-Run Data」で、著者は Kenneth S. Rogoff(ハーバード大)、Barbara Rossi(ICREA[ポンペウ・ファブラ大学カタルーニ…

取引コストのある最適動的資産配分:ヘッジ需要の役割

というNBER論文が上がっている(ungated版へのリンクがある著者の一人のページ)。原題は「Optimal Dynamic Asset Allocation with Transaction Costs: The Role of Hedging Demands」で、著者はPierre Collin-Dufresne(スイス連邦工科大学ローザンヌ校)、…