タイラー・コーエンが表題のNBER論文にリンクしている。原題は「What Does and Does Not Correlate with COVID-19 Death Rates」で、著者はMITのChristopher R. KnittelとBora Ozaltun。
以下はExecutive Summaryに記された分析結果の概要。
- 郡レベルの平均致死率は0.119(ニューヨーク市を除く)。
- アフリカ系米国人の比率と致死率が相関。全員がアフリカ系米国人の郡は、アフリカ系米国人がいない郡に比べ、1000人当たりの死者が1.262高くなる。サンプル中の最小と最大の比率はそれぞれ0%と87%なので、2つの郡を行き来すると致死率が1.10(0.87×1.262)へと10倍近くになる。ただし、州の固定効果を入れるとそれは3倍強になり、統計的に有意ではなくなる。
- 糖尿病と致死率も相関。州をコントロールすると有意ではなくなるが、プラスではある。
- 高齢者比率と致死率も相関。統計的有意性は糖尿病と同様。
- 住宅価値、夏の気温の高さ、冬の気温の低さが致死率と相関。
- 公共交通機関の利用と致死率の相関は高い。NY市を除いたサンプル中の公共交通機関利用者比率は最低が0%、最高が20.6%だったが、両者の1000人当たり致死率は0.99違うことになる。これは平均致死率0.119の10倍近い。
- 通勤手段が「その他」の人も致死率が高い。これは要するに働いていない人だが、高齢者比率は別途コントロールしているので、子供か失業者と思われる。子供が多い郡は社会的ネットワークが発達していて、従って感染確率も高い、ということではないか。失業者のストレスも寄与しているだろう。
- 地域の公害、肥満率、一人当たりICUベッドは致死率と相関していなかった。これはWu et al. (2020*1)の結果と違うが、他の健康や通勤手段の変数を入れれば公害の効果は無くなるということは、見せかけの相関だった、ということではないか。
以下は結果の表。