言語の壁と住宅価格

ダラス連銀から表題のテーマについて興味深い論文が出ているMostly Economics経由)。

以下はその導入部の簡単なまとめ。

  • Saez(2007)(WP)は移民の流入が住宅価格を押し上げることを示した。Saezはその理由を、移民は自分たちの住みやすい地域ネットワークの存在を重要視する半面、住宅価格にそれほどこだわらないため、と説明している。
  • 他にも同様の結果を示した研究があるが、ただし、これまでの研究はいずれも移民を等し並みに扱っていた。つまり、英国から米国への移民もメキシコから米国への移民も、地域ネットワークについて同様の嗜好を持つものとしていた。
  • 本研究では、スイスへの移民について実証研究を行うことにより、言語の壁がその嗜好に大きな影響を与えることを示した。それによると、異なる言語の移民がその地域の人口の1%だけ流入した場合、当該地域の一戸建て住宅価格は約4.9%上昇する。一方、共通の言語(フランス語orドイツ語orイタリア語)の地域への移民の流入については、そうした傾向は見られなかった。