成功した金融政策とはどんな感じかな?

アトランタ連銀のDavid Altigがmacroblogの12/2エントリをそう題している(原題は「What might monetary policy success look like?」)。

そのエントリではAltigは、8/27のバーナンキのジャクソンホール講演以降ディスインフレ傾向は後退した、というロックハート同連銀総裁の言葉を引用し、それを裏付けるものとして以下の2枚のグラフを示している。

1枚目は、グラフタイトルに記述されている通り、5年後の4/15の消費者物価指数が今年4/15時点の水準を下回る確率である。夏以降、確かにこの確率は低下している。
2枚目は、ブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)である。こちらも、夏には弱含んでいたのが、9月以降は力強さを取り戻している。

つまり、表題の問い掛けに対し、恰も「成功した金融政策とはこんな感じさ!」と言いたげな内容のエントリになっているわけだ。


なお、コメント欄では、デビッド・ベックワースが、2枚目のBEIが自ブログエントリ邦訳)で自身が描いたBEI(下図)と随分違う、と指摘している。


この違いは、ベックワースがスポットの5年BEIを描いたのに対し、Altigが5年/5年フォワードのBEI、即ち、5年後から10年後にかけての期待インフレ率を描いたことによる差と思われる。この2つのグラフを単純に解釈すれば、QE2は、今後5年間よりも、むしろそれ以降の5年間というかなり先のインフレ率の方により大きな影響を与えていることになる(夏のボトムからの戻りが、ベックワースの図では0.4%程度なのに対し、Altigの図では0.9〜1%程度に達している)。