中小企業にとって何が問題か?

Economixの9/14エントリの以下の図があちこちのブログで取り上げられている。


拙ブログの9/7エントリでは、ブッシュ減税廃止に反対するAEIの研究者2人のWSJ記事を箇条書きにまとめてみたが、その一つの項に

全国独立企業連盟(National Federation of Independent Business)が6月に実施した中小企業オーナーへのアンケート調査によると、現在直面する問題として、20%が税金を挙げた。これは売り上げの弱さに次いで2位である。

というものがあった。上のグラフはそのアンケート結果を時系列で描画したものである。
これを見ると、税金が中小企業から問題視されるのは別に今に始まったことではなく、20%前後の比率というのはずっとほぼ同じだったことが分かる。一方、売り上げの弱さの問題は、大不況が始まってから急上昇している。


クルーグマンはこの図を取り上げて、問題は需要なんだよ、馬鹿者、と書いている


Free Exchangeのライアン・アベントは2回に亘ってこの図を取り上げている。最初のエントリでは、売り上げの弱さの問題の拡大もさることながら、労働の質の問題が縮小したことに着目している。
その点はWCIブログのNick Roweも着目しており、不況期というのは商品を売るのが難しく買うのが容易な時期であるが、質の高い労働者も商品の一つと考えれば、この図は今まさに米国が古典的な不況期にあること――構造的な失業問題などではなく――を示してる、と書いている


Modeled Behaviorのカール・スミス(Karl Smith)は、かねてより構造失業論を唱えているアーノルド・クリングへの反論にこの図を用いている(デロングはクルーグマンのエントリと共にそのエントリを紹介し、「Karl Smith marvels at the trained incapacity of Arnold Kling」と揶揄している)。


アベントの2回目のエントリでは、クルーグマン、デロング、スミスのエントリを批判したタイラー・コーエンに逆批判している。具体的には、コーエンが、本当に総需要の問題ならば売り上げの弱さを問題視する比率はもっと拡大するはずではないか、と指摘したのに対し、アベントは、図に表れている拡大幅だけでも、総需要が最大の問題だということは如実に示されている、と反論している。