スタグフレーションと売り上げの弱さ

16日エントリでは、規制監督上の不確実性が景気を冷やしているという見解をクルーグマンが嘲笑した、という話を紹介した。もう少し詳しく説明すると、EPI(Economic Policy Institute)所長のLarry Mishelがそうした見解を否定するレポートを発表したところ、AEIブログでJames Pethokoukisがそれに反論し、さらにMishelがそれに再反論した。そのやり取りに目を付けたクルーグマンがAEI側を嘲笑した、というのが事の経緯である(ちなみに、この一件にはマイク・コンツァルも反応している[デロング経由])。


また、MishelはThe AtlanticのClive Crookともやり合っているデロング経由)。Crookが(本ブログの17日エントリで紹介した)Scott R. Baker、Nicholas Bloom、Steven J. Davisの研究を持ち出したのに対し、Mishelは、話題が変わっている、と撥ね付けた。その上でMishelは、ニュースに基づいているという同研究が実体経済をどれだけ反映しているか疑問視すると同時に、しかもその研究はオバマに責を負わせたがっている保守派の言い分を支持していないではないか、と指摘している。


一方、Mishelレポート支持派では、デロングが「No, Fear of Taxes and Regulation Are Not Our Big Problem. Fear of Low Demand Is」と題した本文無しのエントリで、レポート中の以下の図を紹介している。


この図は以前ここで紹介した図と基本的に同じであるが、過去を1970年代まで遡っている点が違う。そこに目を付けたのがModeled Behaviorのカール・スミスで、スタグフレーションの時期に「poor sales」を問題として挙げる中小企業が少なかったことに注目している。このことは、売り上げの弱さは不況の特徴というわけではなく、需要不足による不況の特徴であることを示している、というのが彼の解釈である。