<主な流れ(2)>
●ケインズ革命(John Maynard Keynes)−(1)乗数効果
“The General Theory of Employment, Interest and Money”(1936)
供給ではなく需要(“有効需要”)が生産の決定要因。
「事前」において、需要が供給に一致するとは限らない。
「事後」ではもちろん常に一致 … しかし、その一致点が望ましくない状態の場合もあり得る。
供給不足 → インフレ
需要不足 → 不況
- 三面等価の原則
- 常に総生産=総収入=総支出
- Y=C+S
- 収入=消費+貯蓄
- Y=C+I
- 支出=消費+投資
従って、事後では常にS=Iとなる(恒等式)。
均衡の観点から言えば、S=IとなるようにYが定まる。
消費=C0+cYとする(最低限の消費+収入比例部分;c:消費性向)。
Y=C0+cY+I
∴ Y= (C0+I)/(1-c)
投資を1単位増やせば、GDPは1/(1-c)単位増える = 乗数効果
より正確には、Iを民間投資I、在庫投資J、政府投資Gに、
Cを民間消費C、輸出X、輸入Mに分解して、
税と輸入はYに比例し(T=tY、M=mY)、
民間消費の収入比例部分は税引き後の可処分所得に比例すると仮定すると
Y = C0 + c(Y-tY) + I + J + G + X - mY
∴ Y= (C0+I+J+G+X)/(1-c(1-t)+m)
すなわち、乗数は 1/(1-c(1-t)+m) となる。
なお、税金をTのまま扱うと、
Y = C0 + c(Y-T) + I + J + G + X - mY
∴ Y= (C0+I+J+G+X-cT)/(1-c+m)
となり、投資の乗数は 1/(1-c+m)、減税の乗数は c/(1-c+m) となることが分かる。
後者が前者より小さくなるのは、減税の一部が貯蓄に向かうためである。
[減税の乗数の別解]
Y= (C0+I+J+G+X)/(1-c(1-t)+m)より
すなわち、tを1%下げるとYはc/(1-c(1-t)+m)%上昇する。
[2008/12/21:追加・修正しました]
[2009/01/20:減税の乗数の別解を追加しました]