経済学:私的概論/(3)IS-LM曲線

<主な流れ(3)>

ケインズ革命John Maynard Keynes)−(2)IS-LM曲線

○貨幣保有動機を3分類

  • 取引動機
  • 予備的動機・・・所得に比例
  • 投機的動機・・・利子率で決定


IS-LM曲線
 =ヒックス等が提唱したケインズ理論金利(r,i)と生産Yの関係を分析する概念ツール
 (Hicks, John.R.[1937] "Mr. Keynes and the classics", Econometrica)

  • IS曲線(財市場)
    • S=sY :貯蓄は収入に比例
    • I=S :投資=貯蓄
    • I=I(r) :投資は実質金利rが低くなると増大
  • LM曲線(金融市場)
    • L1=kY :貨幣の取引需要はYに比例(貨幣数量説;k=マーシャルのk)
      • M1=kPY、L1= M1/P
    • L1+ L2=M/P :貨幣の取引需要+流動性需要=実質マネーサプライ(P=価格)
    • L2=L(i) :流動性選好関数
      • 貨幣の流動性需要は名目金利iが低下すると増大
      • 金利低下 →債券価格上昇→将来の金利上昇(債券価格下落)を見越して債券ではなく流動性の高い現金で保持しようとする



IS-LM曲線からの需要曲線の導出
  IS曲線とLM曲線の交わる点が均衡*1

  投資増加・・・IS曲線は右にシフト
  金融緩和・・・LM曲線は右にシフト
  いずれもYを増やす効果がある
  P低下=LM曲線右シフト → PとYの関係(需要曲線)の導出(下右図)

*1:ただし、IS曲線は実質金利r、LM曲線は名目金利iについての関係なので、フィッシャー式により調整してやる必要がある。 フィッシャー関係式: i = r + π、π:期待インフレ率