腕時計をハンマーで修理するなかれ

サマーズがハーバード大とトランプ政権の交渉について次の2つのツイートを行っている。

Achieving closure and preserving academic freedom are, for me, the touchstones of any possible @Harvard deal. There is no point in Harvard making concessions if it will still be vulnerable to pretextual @realDonaldTrump Administration extortion. The agreement has to provide protection. Of course, while Harvard needs to reform on multiple dimensions, it cannot accept government direction over what it teaches, whom it hires, or what its faculty believe. The choices will be very difficult. I have great confidence in President Alan Garber.
(拙訳)
私にとって、事態に決着をつけて学問の自由を保持することは、ハーバードが行うであろう如何なる取引についても満たすべき基準である。トランプ政権の言い掛かりによる強要に対して無防備であり続けるならば、ハーバードが譲歩することに意味は無い。合意は保護を提供すべきだ。もちろん、ハーバードには様々な面で改革する必要があるとはいえ、教える内容、雇う人、教員の考えについて政府の指示を受け入れることはできない。選択は非常に困難なものとなるだろう。私はアラン・ガーバー学長を大いに信頼している。

https://x.com/LHSummers/status/1973383076400033847

I believe that in very important and costly ways America's elite universities have lost their way over the last generation. Nonetheless, the @realDonaldTrump Administration's proposed compact with universities is like trying fix a watch with a hammer—ill conceived and counterproductive. The backlash against its crudity will likely set back necessary reform efforts.
https://wsj.com/us-news/education/trump-universities-compact-federal-funds-agreement-df158493?st=XEvfPz via @WSJ
(拙訳)
米国の一流大学は、過去30年に、非常に重大、かつ、結果が高く付く形で道を踏み外した、と私は考える。しかしながら、トランプ政権が提案した各大学との協定は、腕時計をハンマーで修理するようなものである――きちんと考えられたものではなく、逆効果となるものである。その粗雑さに対する反発は、必要とされる改革の努力を後退させる可能性が高い。
@WSJ 経由の https://wsj.com/us-news/education/trump-universities-compact-federal-funds-agreement-df158493?st=XEvfPz

https://x.com/LHSummers/status/1973715533204685166

この話は、日本における日本学術会議の問題と一脈通じるところがあるかもしれない。確かに日本学術会議もこれまで「非常に重大、かつ、結果が高く付く形で道を踏み外した」面があるのかもしれないが、そうした面での改革を促すのではなく、過去の慣行を破棄して理由を明らかにしないまま6名をいきなり任命拒否した問題化当時の菅政権のやり方は、「腕時計をハンマーで修理するようなものである――きちんと考えられたものではなく、逆効果となるものである。その粗雑さに対する反発は、必要とされる改革の努力を後退させる可能性が高い」というサマーズの言葉がそのまま当てはまるように思われる*1

サマーズは、FRB、ハーバード、中国の軍事パレード - himaginary’s diaryで紹介したツイートでも、「私はハーバードの改革を提唱してきたが、意見が分かれるその問題をどのように考えるにせよ、今は同大学とアラン・ガーバー学長を誇りに思う時である」と述べ、ハーバード大の改革の必要性を認めつつトランプ政権の理不尽な要求に屈するべきではないという姿勢と、ガーバー学長への支持を示している。
そのほかのサマーズのこの件に関するツイートを紹介した本ブログのエントリは以下の通り。

*1:ちなみに公的な研究開発の社会的収益 - himaginary’s diaryで小生は、「日本の科学の窮乏化を進める一方で自民党が注力してきた日本学術会議への攻撃は、確かに同組織には問題が多かったということで正当化される面もあるかもしれないが、特に小泉政権以降に垣間見えるようになった同党の反知性主義の一つの表れもあるようにも思われる」「こと反科学に関しては日本の政治家は与野党揃ってトランプ政権よりも遥かに先を行っているのかもしれない」という個人的な評価を述べたことがあった。