サマーズが定期出演しているブルームバーグTVの「ウォール・ストリート・ウォーク」で、司会のデビッド・ウェスティンが紹介したフォードCEOのジム・ファーリーの言葉にいたく感じ入っている。以下はその感想を文章化したツイート(動画にもリンクしている)。
Ford CEO Jim Farley’s idea of the “essential economy” is a good one and represents an important departure from a fashionable idea: the fetishization of manufacturing. By broadening the concept to include fixing and moving as well as making, it becomes more plausible and inclusive. In all our emphasis on higher education, science and technology, and the knowledge economy of bits and bytes, we have lost sight of the fact that the work people do with their hands is crucial to the livelihood of tens of millions of Americans. @DavidWestin #WallStreetWeek @BloombergTV
https://x.com/LHSummers/status/1973778876053500364
(拙訳)
フォードCEOのジム・ファーリーの「基本的経済」の考えは良いものであり、製造業フェチという流行りの考えからの重要な決別を表している。製造に加えて修理と輸送を含むように概念を拡張することで*1、それはより理に適った包括的なものとなった。高等教育、科学と技術、およびビットとバイトの知識経済を強調するあまりに我々は、米国の何千万もの人々の暮らしにとって手作業の仕事が極めて重要であるという事実を見失ってきた。
「高等教育、科学と技術、およびビットとバイトの知識経済を強調」というのは、現役の教授およびかつての学長というポジションからあたかもハーバード大の立場を代弁するような言論活動を行い(cf. 腕時計をハンマーで修理するなかれ - himaginary’s diary)、かつ、オープンAIの役員を務めている(最近のツイートでもそのことを誇っている)サマーズ自身が体現していることのように思われるが、その一方でサマーズが米国のインフラのメンテナンスを訴えてきたことも事実であり(cf. タイタンの戦い - himaginary’s diary、インフラ投資の政策的枠組みの5つの問題 - himaginary’s diary)、ものづくりに加えていわゆるエッセンシャルワーカーの中でも輸送と並んで修繕に焦点を当てた今回のツイートはその主張に沿ったものと言える。