ゾンビ企業と創造的破壊過程

というインド準備銀行のRBI Bulletin2月号の論文をMostly Economicsが紹介している。原題は「Zombies and the Process of Creative Destruction」で、著者は同行のSitikantha Pattanaik、Silu Muduli、Jibin Jose。
以下はその要旨。

The Schumpeterian creative destruction process requires a dynamic reallocation of resources from weak and vulnerable firms to strong firms having high growth potential. Zombie firms that often survive longer than desirable taking advantage of countercyclical policy support, however, tend to thwart that process. Using firm-level data for India, this article finds that monetary policy does not hinder the creative destruction process by misallocating credit flows to zombies during periods of economic slowdown, but zombies seem to have dampened the effectiveness of monetary policy at the margin as they use borrowed resources more for their survival than for undertaking new investment.
(拙訳)
シュンペーター的な創造的破壊の過程は、弱くて脆い企業から、高い成長ポテンシャルを持つ強い企業への資源の動学的な再配分を要求する。だがゾンビ企業は、反循環的な政策の支援を利用して望ましくないほど永らえることが多く、その過程を妨げる傾向にある。インドの企業レベルのデータを用いて本稿は、金融政策が不況期に信用の流れをゾンビ企業に誤って割り当てることによって創造的破壊過程を妨げることはない、ということを見い出した。ただ、ゾンビ企業は、借り入れた資源を新たな投資の実行ではなく自らの存続に用いるため、金融政策の効果を限界的に損なっているように思われる。

本文を読むと、「金融政策が不況期に信用の流れをゾンビ企業に誤って割り当てることによって創造的破壊過程を妨げることはない」という主張は、金融緩和期にも、リスクに基づく健全な監督によって、ゾンビ企業に信用が過度に流れることはない、という実証結果を論拠としている。