市場が今政府に懇願していること

27日ブログエントリクルーグマンが、公共投資を今推進すべき理由を3つ挙げている。最初の理由については以下のように書いている。

The first case is simply that America has an obvious infrastructure deficit, and that it has never been cheaper to address that deficit. Government borrowing costs are at record lows; markets are in effect pleading with the government to borrow and spend. So why not do it? It’s completely crazy that public construction as a percentage of GDP has declined to record lows even as interest rates have done the same:
(拙訳)
第一の理由は、米国のインフラは明らかに不足しており、その不足を解消するのが今ほど安価だったことはない、ということに尽きる。政府の借り入れコストは記録的な低い水準にある。市場は、事実上、政府に借り入れて支出してくれと懇願しているのである。ならばそうしない理由は無いのではないか? 金利が記録的な低い水準まで低下したというのに公共建設の対GDP比率も同じように低下したというのは、完全に狂っている。

クルーグマンはその上で以下の図を挙げている。

試しに日本について同様の図を描くと以下のようになる*1

ここで公共投資GDP比率は15年10〜12月期まで描画しているが、金利は3/4時点の金利(-0.042%)を用いて16年1〜3月期まで延長した。日本では直近の金利がマイナスになっていることから、クルーグマンの第一の理由の説明は日本の方がむしろ米国より当てはまると言えよう。


クルーグマンは第二の理由として流動性の罠に経済が陥っていること、第三の理由として現在の需要の弱さが将来の供給の弱さを招くという履歴効果を挙げているが、これらもそのまま日本に当てはまることは論を俟たないであろう。

*1:青線は公共投資の対GDP比(名目季節調整値ベース)、橙線は各四半期末の10年限の国債金利(右軸、ソース)。