クルーグマンがブログエントリで2人の地区連銀総裁を相次いで批判している。
最初に槍玉に挙げたのは、来年ミネアポリス連銀総裁に就任するニール・カシュカリ。前任者とイニシャルが同じことに掛けて、以下のように書いている。
So, if the Minneapolis Fed felt the need to maintain conservation of NK, they could have chosen to replace Narayana Kocherlakota with a New Keynesian. Instead, they chose Neel Kashkari. Brad DeLong isn’t happy, and this Twitter exchange suggests that he has good reason to worry.
(拙訳)
というわけで、もしミネアポリス連銀がNKを維持する必要があると思ったならば、ナラヤナ・コチャラコタをニューケインジアンで置き換えるという選択肢もあったのだ。ところが彼らはニール・カシュカリを選択した。ブラッド・デロングは快く思っていないが、このツイッターのやり取りを見ると、彼が懸念するのもむべなるかな、である。
この後クルーグマンは、以前の自エントリを引きつつ需要と供給を混同する過誤を戒めた上で、以下のように書いている。
But now we are about to have a Fed president who says:
How’s this? Growth was artificially fast due to leveraging of econ. Trying to return to that rate thru def spend is futile.
In the words of Charlie Brown, AAUGH!
That word “artificially” is the real telltale, as is Kashkari’s description of Japanese monetary stimulus as “morphine.” It’s straight out of the liquidationist playbook, e.g. Hayek denouncing the use of “artificial stimulants” to fight the Great Depression.
So, great: we now have a liquidationist in a senior position in the Fed system.
(拙訳)
しかし今や我々は、以下のようなことを言う連銀総裁を戴こうとしている。こういうのはどうかな? 成長は経済をレバレッジすることにより人為的に高められた。財政赤字支出でその成長率に戻ろうとするのは無益な行為だ。
チャーリー・ブラウンの言葉を借りれば、AAUGH!
カシュカリが日本の金融刺激策を「モルヒネ」と呼んだこともそうだが、「人為的に」という言葉が完全に語るに落ちている。それは清算主義者のプレーブックからそのまま出てきた言葉だ。例えばハイエクは、「人為的な刺激剤」を用いて大恐慌と戦うことを非難した。
何たることだ。今のFRBの組織には清算主義者の高官がいるのだ。
次いでクルーグマンが槍玉に挙げたのは、ジェフリー・ラッカー*1。「Being An Inflation Hawk Means Never Having To Say You’re Sorry(インフレタカ派でいるということは、申し訳ないと言う必要が決して無いということだ)」と題したエントリで、以下のように書いている。
Jeffrey Lacker, president of the Richmond Fed, is worried about inflation unless the Fed tightens quickly, ignoring the worriers. Here’s what he just said:
If we hope to keep inflation in check, we cannot be paralyzed by patches of lingering weakness.
Oh, wait: That’s what he said six years ago. It is, however, pretty much indistinguishable from what he is saying now.
It seems to me that this is a bit of much-needed context.
(拙訳)
リッチモンド連銀総裁のジェフリー・ラッカーは、懸念する声を余所にしてFRBが急いで引き締めないとインフレになる、と心配している。彼は最近次のように述べた。インフレを抑えたいと思うならば、あちこちに残っている経済の弱さのせいで行動を止めるべきではない。
あれ待てよ、これは彼が6年前に言ったことだった。しかしこの言葉は、彼が今言っていることと殆ど区別がつかない。
彼の発言については背景説明が大いに必要だが、これがその一端になっていると思う。