瞬時に論破されたメルケル=ショイブレ・ドクトリン

ピーター・ドーマンが、ギリシャの債務減免を否定したメルケルとショイブレの発言を槍玉に挙げている。それによると、メルケルは「昔ながらの3〜4割の債務削減は通貨同盟においては起きえない」と発言し、ショイブレは「債務削減と通貨同盟の参加国の地位は相容れないということは周知の事実である」と述べたという。

これについてドーマンは以下の点を指摘している。

  • 米国は、50州とその配下の都市部や地方の各地区すべてが、米ドルという共通通貨を共有する通貨同盟である。その中で、地方自治体の公的債務が削減されるということは、日常茶飯事に起きている。オレンジ郡、デトロイトがその例。人間の行動の法則においてそれを不可能たらしめるものはない。従って、通貨同盟の一般的な法則として考えた場合、メルケル=ショイブレ・ドクトリンは明白な間違い。
  • あるいは、ユーロ圏においては債務削減はあり得ない、という議論はできるかもしれない。ギリシャの債務削減は即ちドイツの資産を減らすことであり、従ってユーロ圏が注意深く避けてきた移転に当たる、と論じることはできる。しかしその議論では、以下の点が見落とされている。
    • 市場はギリシャの債務完済が不可能であることを看破しており、そのため債務の価値は既に額面を下回っている。また、債務削減は、通常、額面はより低いが市場価値がほぼ等しい新たな債券との交換という形で実施される。そうした取引は、既に発生した債権者の損失を認識し追認することになる。これについて、市場が債務価値の評価を切り下げるのも移転だからEUのルールに反する、などと言うのは非現実的。
  • ギリシャの返済期限はこの先何十年にも亘っており、その再編は債務不履行という現実を将来の政治家の問題として先送りすることを意味する。債務削減は現在の責任者の損失として確定することを意味する。メルケル=ショイブレ・ドクトリンは、後者を通貨同盟の名の下で回避しているに過ぎない。