ハーバード大教授のジェフリー・フランケルが、ギリシャ問題への対応についてEUの当局者(とりわけECB)を痛烈に批判している。
フランケルは、EUの対応の失敗として以下の3点を挙げている。
- そもそも2000年にギリシャの加盟を認めたこと。
- 2002-2007年にギリシャ(や他の周縁国)の国債金利のスプレッドがゼロ近くにまで落ちるのを許容したこと。
- ギリシャを早めにIMF送りにしなかったこと。
- ギリシャ国債の金利が6%に達する前にそうすべきだった。
- 2010年1月までにはその必要性は明らかだったにも関わらず、フランクフルトとブリュッセルの指導者たちはショック状態に陥っていた。彼らは手を拱いていないで、ギリシャ危機をユーロを永続させるための先例を確立する機会としてむしろ歓迎すべきだったのだ。
- こうした問題が早晩どこかで起きることは予期されていた。だからこそマーストリヒト基準や非救済条項(1991)や安定・成長協定(1997)が設けられたのだ。ユーロが完成する前に、懐疑的なドイツの納税者は、どこかの浪費的な地中海の国をいずれ救済する羽目に陥るのではないかと懸念していた。EUの指導者たちは、まさにそうした懸念に対応するために、それらの財政規則を導入した。
- 今回の問題に関して、EUの指導者たちはむしろ自分たちの幸運に感謝すべきであった。というのは:
- EUの指導者はまた、IMFの存在にも感謝すべきである。IMFならば、隣国や同盟国といった内輪よりも厳しい条件で救済に臨むことができる。
- ところがEUの指導者たちは未だに、IMFに頼るのは問題外で、自分たちで何とかできると言い張っている。EMU(Economic and Monetary Union=経済通貨同盟)は駝鳥のごとく頭を砂に突っ込んで現実を見ようとしていない。ドイツの納税者の懸念が一貫して正しかったことが証明されたわけだ。
フランケルはエントリの最後に、エミュー(もちろん経済通貨同盟の略称に掛けている)と駝鳥の写真をあしらった金利のグラフを示している。