- 自分は平均的な投資家に勝ち続けることができないと判断した投資家に、平均的な投資家の運用をトラックするパッシブ運用のポートフォリオを提供する。
- あるアセットクラス内で自分は平均的な投資家に勝てる、と主張するポートフォリオマネージャーのアクティブ運用のパフォーマンスを判断する上での客観的な基準を提供する。
- 平均リターンが計算できる*1。
- 債券の場合には平均利回りないしスプレッドが計算でき、ソブリン債のインデックスの場合にはそれが平均投資家がリスクオン・リスクオフのいずれの状態にあるかを判断する指標となる。
- 平均的な投資家が特定の方向に誤っている(例:リスクを過小評価している)と感じた場合、それを是正した戦略を立てるのに役立つ。
フランケルは、こうした役割を果たすためのベンチマークは、加重平均のウェイトとして(投資可能な市場における)時価総額を用いるべき、と主張する。その上で、ソブリン債のインデックスで時価総額の代わりにGDPをウェイトに用いる最近の傾向(例:PIMCO、ノルウェーの政府年金ファンド)に対し、以下のような疑義を呈している:
- そうした動きは、国債の時価総額の高い国は過剰な債務を抱えている恐れがあり、従ってデフォルトリスクがある、という論理に基づいている。しかし理論上は、市場が適切に機能していれば、そうした要因は既に高金利という形で織り込まれているはずである。
- GDPで加重したベンチマークを用いるよりは、債務GDP比率を明示的に要因として取り込んだ方が戦略を考える上で役に立つのではないか? そうすれば、投資対象国が自国通貨で容易に借り入れができるのか(例:基軸通貨国の米国や、国内保有比率の高い日本)、それとも満期や通貨構成面で脆弱なのか(例:ハンガリー)、をきちんと考える余地が生まれる。