シラーがPER(正確にはシラー流のPERであるCAPE=Cyclically Adjusted Price Earning Ratio)が25倍に達したことを以って、米株価が高過ぎる、とNYTで論じた。本来のPERの水準は15倍程度であり、過去の経験からして25倍に達するとその後の株価は低迷するという。それにデロングとディーン・ベーカーが反論し*1、Antonio Fatasが両者の言い分を簡潔にまとめている(H/T Economist's View)。
そのFatasのまとめをさらに乱暴に要約すると以下の通り。
- 一方、PER=25倍は、益回り=4%に相当する。さらに、最近のCBO予測では、実質GDP成長率は過去の平均を0.5%ポイント下回り、2.5%で推移するとされている。すると株式のトータルリターンは6.5%となり、従前の「本来」の水準を3%ポイント程度下回るところまで低下したことになる。
- ただ、最近流行りの長期停滞論が議論しているように、実質GDP成長率が低下するとともに、実質金利も低下している。そのため、債券の実質利回りも、かつての3〜4%から0〜1%に低下している。従って、株式のリスクプレミアムは依然として6%程度あることになる。
- 6%の株式のリスクプレミアムが高いか否かは議論の余地があるが、過去の議論では、それだけ高いリスクプレミアムは株式市場は過小評価されており、投資家は過度にリスク回避的であることを示している、という結論が導かれている*2。