コント:ポール君とグレッグ君(2015年第4弾)

第1弾と同様、マンキューはサックスの論説をリンクしただけであり、しかもクルーグマンは反応していないが、一応拾っておきます。

グレッグ君
ジェフ・サックスデビッド・キャメロンを擁護しているよ。
  • リンクされたサックスのProject Syndicate論説「Krugman’s Anti-Cameron Contradiction(クルーグマンの反キャメロンの矛盾)」の冒頭:

It is truly odd to read Paul Krugman rail, time and again, against the British government. His latest screed begins with the claim that “Britain’s economic performance since the financial crisis struck has been startlingly bad.” He excoriates Prime Minister David Cameron’s government for its “poor economic record,” and wonders how he and his cabinet can possibly pose “as the guardians of prosperity.”
Hmm. In recent months, Krugman has repeatedly praised the US economic recovery under President Barack Obama, while attacking the United Kingdom’s record. But when we compare the two economies side by side, their trajectories are broadly similar, with the UK outperforming the United States on certain indicators.
(拙訳)
ポール・クルーグマンが何度となく英政府を非難しているのを見るのは非常に不思議なことだ。彼の直近の長たらしい文句は、「金融危機以降の英国の経済パフォーマンスは驚くほど悪かった」という主張で始まっている。彼はデビッド・キャメロン首相の政府を「お粗末な経済の成績」の咎で激しく非難し、一体全体どうして彼と彼の内閣が「繁栄の守護者」を気取ることができるのか、と訝しんでいる。
うーむ。このところクルーグマンは、英国の経済パフォーマンスを腐す一方で、繰り返しバラク・オバマ大統領の下での米国の経済回復を称賛してきた。しかし両国の経済を横に並べて比較してみると、両者の軌跡は概ね似たようなものであり、中には英国が米国に優っている経済指標もある。

ここでサックスがオバマ称賛としてリンクしたクルーグマンNYT論説を巡る騒動(=同論説に対するサックスの批判と、それへのクルーグマン&デロングの反応)については本年のこのシリーズの第1弾で取り上げたが、それはオバマの経済政策を称賛したというよりは、財政緊縮策の咎で米英両国を批判したという色合いが濃い(この時はむしろサックスが、クルーグマンの予測に反して米国経済のパフォーマンスは良かった、という論陣を張っていた)。
EconospeakのProGrowthLiberalは、今回のサックス論説で論じられた米英両国の経済パフォーマンスで財政緊縮策が正当化されるというならば、その人はどこでマクロ経済を学んだのか問いたい、とサックスを批判している