マンキューはサックスのProject Syndicate論説にリンクしただけであるが、一応このシリーズのネタとして拾っておきます。今回はブラッド・デロングにもそのサックスの論説の引用役として中間に登場して頂きます。
- ブラッド君((本石町日記さんもこのエントリを[https
- //twitter.com/hongokucho/status/552390704560087041:title=ツイートされている]。)):うん、もちろん僕はジェフリー・サックスが正気を失ったと思っている。訊くまでもないじゃないか? 年率2.2%の実質GDP成長が「勢いが良い」なんて正気を失っていない人が言うわけなど金輪際ないだろう?
−ジェフ・サックス「ポール・クルーグマンとオバマ回復」から:
- ポール君
- 2010年に世界が総体的に緊縮方向に転換してからの全体像を分かっている人がどれだけいるのかね? ユーロスタットの年次データを使って実質GDPの成長率と政府購買額の変化率の関係をみると、33ヶ国の2010-2013の4年間の132データポイントで、両者の相関を示すグラフが描ける(傾きは乗数と考えてもらってよい)。これを見てケインズ経済学が戯言だと思えるかね? 疑似相関だと言いたい人もいるだろうが、生のデータは確かに景気後退時の政府支出削減は成長を抑えるという見方と整合している。もちろん相関は完璧なものではなく、決定係数は0.31に過ぎないが、t値は7.7だ。前述のように、お好みならば、これは擬似相関であって因果関係を示していない、と主張してもらっても構わない。ただ、データから外れ値を拾い上げて、その存在がケインズ経済学の論理を反証した、などという議論は決してやってはいけない。残念ながら、分かっているはずの経済学者*1も含めて、そういう議論を数多く目にするんだけどね。
ちなみにデロングはこのクルーグマンの主張を補足する形で、逆の因果関係は考えられない、というエントリを書いている(自ブログへの転載;H/T Economist's View)。また、サイモン・レン−ルイスもこの一件にコメントしている(H/T Economist's View)。