という小咄をイェンス・ヴァイトマン・ドイツ連銀総裁がパリのHEC経営大学院での講演の冒頭で披露している(H/T Mostly Economics)。
Just four weeks ago, France and Germany celebrated the 50th anniversary of the “ElyséeTreaty”, the treaty of friendship as it is called. And the friendship between France and Germany has come a long way since Charles de Gaulle and Konrad Adenauer met in Paris to sign the treaty.
However, we still cling to our favourite clichés regarding each other’s national cultural behaviour. Let us look at a recent poll in which French people were asked to name some typical German traits. According to this poll, Germans are – first and foremost – very “serious” people. Put in the words of the French writer Stendhal: “It seems that in Paris more jokes are made in the course of one evening than in Germany during a whole month”.
Well, I am German so I would not dare to tell a joke. But as I am in Paris I might try at least to pass on a little quip I heard the other day. It goes like this: “How many Germans do you need to change a light-bulb? One, he holds the light-bulb and the rest of Europe revolves around him”.
I’m afraid this quip reflects the impression some might have of Germany at the moment. But let me add two things: first, the same joke was being told in the 1990s, and back then, the French where the ones holding the light-bulb. Second, the joke did not reflect actual circumstances in the 1990s, nor does it reflect them today.
(拙訳)
ちょうど四週間前に、フランスとドイツは、友好条約と呼ばれる「エリゼ条約」の50周年を祝いました。シャルル・ドゴールとコンラッド・アデナウアーが条約調印のためにパリで顔を合わせて以来、フランスとドイツの間の友好関係は長い道のりを辿ってきました。
しかしながら、我々は依然としてお互いの文化的慣習に関するお決まりの見方に固執しています。ドイツ人の典型的な習性について質問した最近のフランスの世論調査を見てみましょう。その調査によれば、ドイツ人は、何といっても、非常に「真面目な」人々、ということになっています。フランスの作家スタンダールの言葉を借りるならば、「パリでは一晩の間に、ドイツで一ヶ月の間に交わされるよりも多くの冗談が交わされるようだ」というわけです。
私はドイツ人ですので、冗談は言わないでおきます。ただ、パリにいるので、取りあえず先日耳にした小咄を紹介しておきましょう。それはこんな感じです:「電球を交換するのに何人のドイツ人が必要か? 一人だ。彼は電球を支えていて、残りの欧州が彼の周りを回る。」
この小咄は、一部の方々が現在ドイツに対してお持ちの印象を反映しているのではないか、と思います。ただ、二つのことを付け加えておきたいと思います。一つは、この同じ冗談が1990年代にも交わされており、当時は、電球を支えていたのはフランス人だった、ということです。二つ目は、この冗談は1990年代の現実の状況を反映してはいませんでしたし、今日においても同様だ、ということです。
ちなみにこの電球ジョークというのは一つの定番で、様々なバージョンがあるらしい。
講演の最後でヴァイトマンは、再び電球の話を持ち出している。
Ladies and gentlemen, I began my speech with a joke about how to change light-bulbs in Europe. As you might know, traditional light-bulbs are increasingly being phased out in the European Union. This is a sign of the changing times we are living in.
But not everything has to change. Proven concepts such as central bank independence should be preserved. Nevertheless, the most important point of my speech is that we all share the same objective: a prosperous European Union and a stable single currency. This is what unites us and keeps us going.
(拙訳)
ご来場の皆さん、私はこの講演を、欧州での電球の交換についての冗談から始めました。ご承知の通り、従来型の電球は欧州連合からはどんどん姿を消しつつあります。それは我々の生きている時代の変化の証です。
しかし、すべてのことが変化する必要はありません。中央銀行の独立性のような、風雪に耐えた考え方は保持されねばならないのです。とは言うものの、私の講演で最も重要な点は、我々は皆同じ目的を分かち合っている、ということです。それは即ち、繁栄した欧州連合と安定した単一通貨です。それこそが、我々を団結させ、前進させるものなのです。
なお、講演の内容自体は、予想される通り、金融政策への依存をやめて財政の健全化と競争力の強化に励みましょう、というものになっている。そして上記の引用部分で触れている中央銀行の独立性を巡る問題については、スティグリッツの主張や日本の状況を槍玉に挙げている。