についてChris Dillowが考察している。
彼はまず、本来は政治的立場とケインズ経済学に対する好き嫌いには関連は無いはず、として、その理由を4つ挙げている:
- (測定が困難な)財政乗数の大きさという問題は技術的な話であり、政治的見解の話ではない。乗数が0.5ではなく1.5だった、というのは、貴兄が左派か右派かには無関係な話。
- 大きな政府を支持せずにケインズ経済学を支持することは可能。それはケインズ自身の立場だった。Mark Thomaが述べたように、「政府の規模とケインズ的な安定化政策の間に必然的な関連は存在しない。」
- 短期の階級的な利己主義のために英国の保守党がケインズ経済学に反対している、というのも疑わしい。財政拡張策は雇用だけではなく利益にとっても追い風となる。もし拡張策が金利の上昇をもたらすならば、保守党の支持層の大きな一角を占める引退者層にとっても良い話。
- 50〜60年代には右派はケインズ経済学を支持していた。「我々は皆ケインジアンである」と言ったのはニクソンではなくフリードマン。
次いでDillowは、右派がケインズ経済学を嫌うようになった理由の候補として、以下の3つを挙げている:
- カレツキの説*2:資本主義志向の政府は、仮に短期的には資本主義に益をなすものだとしても、ケインズ主義を否定しなくてはならない。というのは、経済に影響を及ぼす力が長期的に政府ではなく資本家たちに残るようにしなくてはならないからだ。
- 公共選択の問題:最終的にケインズ主義が大きな政府に結び付くことを右派は恐れている。というのは、政府にとって景気の悪い時に支出を拡大する方が、良い時に削減するよりも楽だからである*3。
- 右派が、ケインズに比べてより教条的に自由市場を信じるようになってしまったため。
これに対しコメント欄では、右派がケインズ経済学に反対するのはそれが左派と結び付く限りにおいてであって、話が減税や軍事に及ぶと彼らはケインジアンになるのさ、という趣旨の指摘が幾人かのコメンターよりなされている。