FOMCの5つのグループ

8/29エントリで注で触れた少し前のエントリでデロングは、FOMC委員を以下の5つのグループに分類している。

  1. エリザベス・デューク、ジェローム・パウエル、エスター・ジョージ
  2. ダン・タルーロ、サラ・ブルーム・ラスキン、サンドラ・ピアナルト、デニス・ロックハート
  3. エリック・ローゼングレン、チャールズ・エバンス、ジョン・ウィリアムズ
  4. ジェフリー・ラッカー、チャールズ・プロッサー、ジェームズ・ブラード、ナラヤナ・コチャラコタ、リチャード・フィッシャー
  5. ベン・バーナンキ、ジャネット・イエレン、ジェレミー・スタイン、ウィリアム・ダドリー

そして、各グループを以下のように寸評している。

  1. 金融業界の大物で、事なかれ主義の傾向があるが、他のメンバーの強力な主張に追随するのも吝かではない。
  2. 金融政策に関して独自の強力な見解は有していないが、今の状況を憂慮しており、建設的な方向だと確信できれば現状を打破するような行動に参加するだろう。
  3. 自分(=デロング)と同様の考えの持ち主。
  4. 何を考えているのか分からない。2008年以降、経済の情勢判断とリスクのバランスの判断を間違え続けてきて、そうした自分の間違いに気付いているはずなのに、未だに従来の自分の立場に固執している。将来の情勢の変化によって、自分たちもそれほど馬鹿では無かった、となることに期待を掛けているようだ。もしここで間違いを認めてしまうと、権威や影響力や面子を失うと思っているのだろう。自分の置かれた状況を認めることを拒否し、再生のためにヤマを張った挙句に破綻したかつてのS&Lのようだ。
  5. 決定権を持つべき人々。金融政策に関して深い知識と内容のある強力な見解を有している。評判が地に落ちているわけではなく、従って再起のためにヤマを張る必要も無い。


その上でデロングは、なぜ第5のグループ――特にバーナンキ――が、ハッチウスやクリスティーナ・ローマーやギャニオンやブランシャールが提案しているような思い切った手を打とうとしないか、という点について考察し、以下のような仮説を並べている:

  • バーナンキは実はもうFRBの弾薬は尽きたと思っている。口ではまだ尽きていないと言っているが、それはブラフに過ぎない。
  • 思い切った手を打っても結局経済が好転せず、FRBが無力であることが明らかになることを恐れている(cf. ここで紹介したホールの意見)。
  • 自分はやるべきことをやっているのに、政権側がその効果を生かすような然るべき政策を実施していない、という不満がある。
    • その例としてデロングは、最初のQEで30年ローンの金利を未曾有の水準まで引き下げたにも関わらず、負債を背負った家計の借り換えを進める政権側の政策が思うように進まなかった、というギャニオンの回想を引用している。
    • 財政出動の不調については当然共和党の責任もあるわけだが、それについてデロングは、メディアはきちんと報じていないが、バーナンキは議会証言で自党議員をかつてないほど厳しく批判したFRB議長である、と指摘している。