という問いに対して議会予算局がイエスの答えを出した、としてマンキューがこちらのCBOレポートを紹介している。
そのレポートの内容は以下の図に集約される*1。
これによると、高卒以下では36%、大卒では15%、民間よりも連邦職員の方が総報酬が高いという。一方、専門資格ないし博士号取得者では、連邦職員の方が18%低いという。面白いのは、賃金だけを見ると大卒では政府と民間は互角で、それ以下の学歴では政府の方が高く、それ以上の学歴では民間の方が高くなっている。一方、福利厚生は専門資格ないし博士号取得者では政府と民間は互角だが、それ以外では政府の方が高くなっている。つまり官民格差をもたらしているのは、かなりの程度が福利厚生(医療保険、有給休暇、退職金など)によるのだが、こちらのブログによると、民間ではあまり見られなくなった確定給付年金が連邦政府職員のほとんどで利用可能なことが、その差の最も重要な要因になっているという。
こうした民間と政府の給与比較について、Modeled Behaviorのカール・スミスは、「政府は労働者に払い過ぎているのか?(Does Government “Overpay” Its Workers)」と題したエントリで、比較優位の原則が政府の輸入政策によって引っ繰り返されたり、ゴールドマンサックスの給与体系が労働市場の需給を引っ繰り返すことはあるのだろうか、という謎掛け染みた問いを投げ掛けている。
これに対し同じくModeled BehaviorのAdam Ozimekは、スミスの謎掛けを、政府による払い過ぎは無い、という主張と解釈し、反論している。Ozimekはそこで、CBOの分析では高度な技術を要する職種よりもむしろ単純労働の職種の方が官民格差が大きいことを指摘し、そうした単純労働ではどんな人材でも追加的な付加価値は限られるので、政府の払い過ぎはあるでしょう、と論じている。
この両者のやり取りをノアピニオン氏がブログ内の内戦と囃し立てた上で、Ozimekの方に軍配を上げている。
それに対しスミスがさらにエントリを書いて応じ、自分の真意を明らかにしている。曰く、官民の給与を単に比較しただけでは、需要と供給のどちらがその違いをもたらしているのかは分からないし、ましてやどんな要因がその違いをもたらしているのかは分からない。例えばロケット・サイエンティストの職を提供しているのは政府以外にはあまり無いので買い手市場になっているのかもしれないし、国防総省のトラックの運転手や在庫管理の仕事は民間よりも高いプロフェッショナリズムが求められるのかもしれない。少なくとも、政府が誰をどのような理由で採用を断り、誰がどのような理由で政府の職に就くのを断っているのかを知りたいと思うべきではないか、とOzimekとノアピニオン氏を窘めている。
*1:2012/3/16:img srcのリンク先を変更(旧リンク=http://www.cbo.gov/ftpdocs/126xx/doc12696/FederalWages-landingpage.pngが無効になっていたため)。