経済学ブログの経済学

以前、ドイツ人経済ブロガーがいない10の理由、というフェリックス・サーモンの記事を紹介したことがあったが、表題のvoxeu記事ではイタリアで経済ブログが活発でない理由を挙げている(原題は「The economics of economics blogs」;Mostly Economics経由)。書いたのはボローニャ大学の経済学部教授Paolo Manasseで、(ここで紹介した)David McKenzie=Berk Özlerの研究をきっかけに考察した、との由。

以下がその理由のリスト。

  • イタリアの「経済学リテラシー」は米国に遥かに劣り、そのことはブログをすることで得られる利益が低いことを意味する。
  • イタリアのメディア所有の集中度は遥かに高いため、個人が主導権を取る余地が少ない。
  • イタリア(ないし欧州)の経済学者の間ではカソリック/ポスト・マルキシストの伝統が強く、集団的な業績達成を重視し、個々人にあまり信を置かない。
  • 言葉の壁もあってイタリアの「市場規模」は遥かに小さく、ブログによる利益を限られたものとしてしまう。
  • イタリアでは、個人同士の(非市場的な)ネットワークによる恩恵が、ブログのような市場志向の活動による恩恵を遥かに上回る。

Mostly EconomicsのAmol Agrawalはこれはインドにも当てはまる話、としているが、日本にも当てはまる点が多いと言えるかも知れない。