中流から滑り落ちる米国人

というテーマの論文を今月初めにピュー慈善財団が発表し、WaPoが紹介しているThe Big Picture経由;こちらのWSJ日本語記事でも簡単に論文の内容に触れている)。


以下はWaPo紹介記事の概要。

  • 論文によれば、中流家庭で育った米国人の3人に1人近くが成人した時に所得の階段を滑り落ちた。
  • 調査対象は1979年に中流ティーンエイジャーだった人で、かつ、2004年と2006年に39〜44歳の人(従って2007年以降の大不況期は調査期間外)。
  • 中流は、所得分布で30%分位と70%分位の間と定義。4人家族で言えば、2010年ドル価格で$32,900と$64,000の間。
  • 以下の定義のいずれかに当てはまれば転落者と認定:
    • 所得が30%分位より下
    • 所得分位が両親よりも20%分位以上下
    • 所得額が両親よりも20%以上低い
  • 以下の人はそうでない人に比べ滑り落ちやすい傾向が見られた:
    • 単身者(特に女性)
    • 大学を出ていない人
    • アフリカ系米国人男性(38%=白人の倍近く)
  • ヒスパニック系男性も白人に比べ滑り落ちやすい傾向が見られたが、その差は統計的に有意でない。
  • アフリカ系とヒスパニック系では男性の方が女性より滑り落ちやすい傾向が見られたが、白人ではその逆だった。
  • アフリカ系米国人と白人の差も、読解力や語彙力や数学能力を測る軍資格試験の得点差を考慮に入れると、有意ではなくなった。