右派系経済学者がよくやる間違い

昨日紹介した左派系経済学者のよくやる間違いと対の形で、タイラー・コーエンが右派系経済学者のよくやる間違いを提示している。以下はその拙訳。

  1. 現在の経済環境において、過度のインフレないしハイパーインフレへの恐れを抱いている。また、2〜5%のインフレのコストをしばしば過度に評価している。
     
  2. 経済成長の源泉と駆動要因について我々が知っていることは、認めたくないほど少ない。この問題について追求を受けると、東独対西独のような、極端な差異が生じた比較的単純なケースの引用に頼ってしまう。
     
  3. 税率の引き下げは言われているほど経済発展を促さない。少なくとも、租税負担率が「GDPの50%ないしそれ以下」の範囲においては。
     
  4. 温暖化問題には、その大部分が経済学上の問題ではないにしても、言及しないことが怠慢に映るような経済関連の問題が数多く存在する。
     
  5. 医療貯蓄口座は個人的には大賛成だが、シンガポール並みの規模で実施され、強制貯蓄の割合が多くない限り、米国人の大半を大いに利する健康保険プランとはならない。右派系から出されている健康保険プランは、彼ら自身が思っているよりも整合性に欠けている。
     
  6. オバマ医療改革法案には医療コストに対するコントロールが既に十分に盛り込まれている。その大部分はメディケアに関するものである。右派はそうしたことをきちんと認めようとしない。
     
  7. 産業革命や西欧の発展(「Great Divergence」)などの歴史的決定要因の話になると、そうしたプロセスにおける国家建設の重要性をしばしば無視する。
     
  8. 大半の米国人にとって安定した顕著な経済的進歩があったという話をあまりにも安易に受け入れる。
     
  9. 今回の金融危機において市場の失敗が果たした役割を軽視している。また、今後の救済策が不要になるような政策を米国民に何らかの形で約束できると信じている。そうした根拠の無い話を広めることは、将来的に救済が起こる可能性をむしろ高めてしまう。
     
  10. 製造物責任法などの各種責任法に頼ることは、その概念の良し悪し以前に、本質的に市場主義的ではなく、リバタリアン的でもなく、非市場介入的でもない。