非経済学者がよくやる間違い

今日は、3/12エントリへのokemosさんのブクマで教えてもらったデビッド・レオンハートのEconomix記事を紹介してみる。ここでレオンハートは、左右両派の非経済学者がよく持ち出す根拠薄弱な主張をリストアップしている*1。リストの各項において張られたリンクは、そうした主張を論破する根拠、とのことである*2


まずは左派の非経済学者の主張から。


続いて右派の非経済学者の主張。


両派の違いについて、レオンハートは以下のようにまとめている。

The difference, I think, is that conservative economists’ blind spots overlap more with general conservative blind spots than is the case for liberal economists and liberal blind spots. That’s not a value judgment so much as an observation: liberal economists tend to be more economically conservative than average liberals.
(拙訳)
私の考えでは、両者の違いは、保守的な経済学者の弱点と保守派全般の弱点との重なりが、リベラル派の経済学者の弱点とリベラル派全般の弱点との重なりよりも広い、という点にある。これは価値判断を述べているわけではなく、見たことを述べているだけである。リベラル派の経済学者は、平均的なリベラル派よりも経済面では保守的な傾向があるのだ。

*1:ここでレオンハートはblind spotという表現を使い、コーエンやクラインのようにmistakeと断じてはいない(ただ、本エントリのタイトルは、昨日までのエントリで使った「よくやる間違い」という文言をそのまま用いた)。文中で左派のblind spotをリストアップした後には、以下のようなことも書いている。
I’m not saying every one of these views is simply wrong. On trade, for example, liberals have been right about some things that economists were wrong about. But I do think the views above often end up missing something important.
(拙訳)
ここで挙げた項目はすべて単純に間違っていると言っているわけではない。例えば貿易については、経済学者が間違えていたことに関してリベラル派が正しかったこともあった。しかし、ここで挙げた見方は、突き詰めると何か重要なことを見落としているとは思う。

*2:ただしそうした根拠の中には、3/12エントリで紹介したエズラ・クラインの指摘の第6項「経済学の実証結果はもっと謙虚に提示されるべき。それは後になって引っ繰り返されることや、現在は間違って理解されていることが良くある。」に引っ掛かりそうなものもあるように見受けられる。

*3:ここでレオンハートがリンクしたイグレシアスが示している図は、小生が以前指摘した問題(=各国間の比較を実質ベースで行っている)を抱えている。また、スティーブ・ワルドマンのいわゆる「情報の非対称性産業」に雇用がシフトしていくことの問題点もレオンハート(およびイグレシアス)の念頭から抜け落ちているようである。