2日で外れた経済予測

マンキューが12/9ブログエントリで、マシュー・カーン (Matthew Kahn)カリフォルニア州立大学ロサンゼルス校(UCLA)環境研究所、経済学部、公共政策学部教授の以下の予測を紹介した。

Professor Mankiw should consider incorporating the following income effects case study into his next edition of his textbook. Based on the simple labor supply theory of substitution and income effects, I predict that Tiger Woods will play in more tournaments in 2010. In 2009 (pre-discovery of his prowling) Tiger didn't play much golf . He earned "only" $10 million playing golf. If his flow of endorsement income falls from $100 million a year to $10 million year, then this loss of $90 million per year is a negative income effect. Ignoring any alimony bills (which simply compound the income effect), this income effect should cause him to work more. Note that the wages of winning a tournament do not change. The shock is to his flow of income from his endorsements. This is equivalent to losing the lottery and having money taken from you.

Environmental and Urban Economics: Tiger Woods Offers Economists a Test of Our Theory of Labor Supply

(拙訳)
マンキュー教授は以下の所得効果のケーススタディを彼の教科書の次の版に載せることを検討すべきだ。単純な代替に関する労働供給理論と所得効果に基づき、私は、タイガー・ウッズが2010年にもっとトーナメントに出場すると予測する。2009年(の不倫騒動発覚前)、彼はあまりプレーをしなかった。彼がゴルフのプレーから得た収入は「たった」1000万ドルに過ぎない。彼がスポンサー契約から得る収入が年間1億ドルから1000万ドルに落ち込むとしたら、この9000万ドルの落ち込みは負の所得効果となる。別居手当などを無視しても(それは単に所得効果に付け加わるだけだ)、この所得効果は、彼がもっと仕事に励む要因となる。トーナメントの優勝賞金が変わらないことに注意しよう。減少のショックが発生するのは、スポンサー契約からの所得に対するものだ。これは、籤をなくして宝くじの賞金が没収されることに等しい。


しかし、12/11にウッズは無期限のツアー出場自粛を発表したので、カーンの予測は2日で外れたことになる。ただカーンは、エントリへの追記で、短期では外れたが長期では分からない、と強弁している。


日本でも芸能人がスキャンダルでスポンサー契約を失うことが良くあるが、このカーンの考え方から行くと、彼らはその後に(短期的にはともかく長期的には)以前より本業の仕事を増やすはず、ということになる。幸か不幸か事例のサンプル数はそれなりにあるので、それでケーススタディをしてみるのも面白いかもしれない(…データ集めは大変そうだが)。