それは特長でなくバグでんがな
- グレッグ君
- ポール君が温暖化対策法案についてブログで書いたことは概ね正しいと思う*1。ただ、公益企業は利益が規制されているので、排出権の初期割り当て分のレントが価格低下という形で消費者に還元される、と書いているのはどうかな。僕に言わせれば、それはワックスマン・マーキー法のバグであって、特長ではない。経済的効率性の観点から言えば、炭素排出権の価格は、高いエネルギー価格という形で消費者にそのまま課せられるべきなんだ。消費者はその高価格に基づきエネルギー消費の最適値を決める一方、所得税や給与税の軽減によって補償を受ける。そしてその減税を賄うのは、排出権のオークションから上がった収益ということになる(本当は炭素税の方がいいんだけどね)。
希少資源を効率的に配分するためには、相対価格が真の社会コストを反映する必要がある。本来は減税によってなされるべき消費者保護を、規制によって実現しようとすると、結局、効率的配分という元々の目的が達成できなくなってしまう。その結果、環境保護のコストが必要以上に跳ね上がってしまうんだ。
…マンキューの上記の批判を知ってか知らずか、クルーグマンはその後のエントリでも、公益企業の規制を通じた消費者への還元を望ましいことのように記述している。
ちなみにクルーグマンのその直近2つのエントリの主な攻撃対象は、フェルドシュタインの5/31のワシントンポスト論説である。彼は以前にもブログでそのフェルドシュタインの論説を攻撃していたのだが、肝心なことを書き落としたらしく、今回、改めて批判している。今回の批判ポイントは、フェルドシュタインがコストと見なしたものの大部分は、巡り巡って消費者の元に戻るのではないか、という点で*2、本ブログで言えば小生が以前このエントリで指摘した点である。