をマンキューがNBERコンファレンスで明らかにした。以下はその概要。
- フィリップス曲線は厳然として存在する
- インフレと失業率の無条件の関係としてはもはや存在しないが、条件付きの関係としては存在する。
- 金融ショック、ないし総需要ショックは、インフレと失業率を短期的に逆方向に動かす。これを短期のフィリップス曲線と定義すると、これから逃れることはできない。
- インフレと失業率の無条件の関係としてはもはや存在しないが、条件付きの関係としては存在する。
- しかしフィリップス曲線は実務的に有用なツールではない
- 供給と需要をリアルタイムに分離するのはほぼ不可能
- 理由は、自然失業率を正確に把握できないため。
- 後知恵でも難しいのに、データが揃っていないリアルタイムではまず無理。しかし政策担当者はリアルタイムに対応する必要がある。
- 予想が重要な役割を果たしていることが、事態をさらに難しくしている。
- 2022年のインフレは良い例だった。原因はコロナ禍に関連した供給網の混乱だったのか、失業率がNAIRUを下回ったことによる需要の過剰だったか、あまりにも長く緩和的だった金融財政政策に予想が反応したためか、いずれの可能性もある。最も可能性が高いのは、その3つの組み合わせだったが、ウエイトは分からない、というもの。
- 経済学者はカルボの呪縛から逃れるべき
- カルボモデルは価格設定についての洗練された理論であり、自分も洗練さは大いに評価する。しかしそのインフレ動学はデータと合わない。
- 実証的により尤もらしいインフレ動学を提示する価格設定モデルは、カルボモデルとは違う予想を使っている。
- カルボモデルは将来のインフレについての現在の予想を使っているが、それらのモデルは現在のインフレについての過去の予想を使っている。
- あるいはフィリップス曲線の正しい変数は、予想インフレではなくインフレのノルムなのではないか。
- 貨幣集計量はもっと注目されてよい
- 2%インフレ目標は2.0%インフレ目標よりも良い