3/18エントリで紹介したアイケングリーンはFT Alphaville記事にリンクしていたが、そこでは今年に入ってからのドル安の説明候補として以下の17個を挙げている。
- ドルの低下は目新しい話ではない。2017年初めに始まった下落の継続。
- ドルは過大評価されており、今は必要な修正が行われている。
- 7年前に始まったドルの長い強気相場循環の後の新たな弱気相場循環が始まろうとしている、ないし始まった。
- ドルが下落しているというよりも、他の通貨がドルに対して上がっている。というのは、それらの国の経済が強く、中銀が利上げに向かって動いているからである。特にユーロと円。
- 世界の成長は広範囲かつ持続的である(理由4に同じ)ため、リスク志向は健全なこと。
- 米国以外の資本需要が強まっている。
- ドナルド・トランプが米国の保護主義的な言辞のボルテージを高めている(ただし貿易戦争は最終的に米国内の製品価格を高めるためインフレ的であり、ドルの上昇につながるはず)。
- 米国の「税制改革」は財政赤字の拡大を意味するが、それはドルを弱める傾向にある(1985年のレーガン減税と2001年のブッシュ減税を参照。ただし両ケースでドルが低下したのは数か月後のことだった)。
- トランプ政権は弱いドルを好んでいる(ダボスでのスティーブン・ムニューシン財務長官の「弱いドルは貿易と機会との関連において我々にとって良いこと」発言を参照。ドナルド・トランプが発言を訂正したにも拘わらず、ドルは直ちに3年来安値に下落した)。
- 超低金利は市場についての我々の前提を覆した。その中には、ドルが上下する原因も含まれる。
- 中国が何もしていない。人民元の下落を許容することなく、むしろその上昇を喜んで見守っている。その一つの理由は、通貨を操作していると非難されることを北京が懸念しているためである。中国人民銀行もいつもほど米国債を買い入れていない。
- 各国中銀が外貨準備の配分を変えており、ドル離れする形で分散化している。
- 債券利回りは上昇しているが、ドル上昇相場の引き金を引く水準には(まだ)達していない。
- 投資家たちは、米国の選挙の後にドルを上昇させた経験で痛い思いをしている。結局はトランプへの失望が取引の主流になって、ドルは下落した。彼らはその経験を繰り返したくないと思っているため、こぞって弱いドルのストーリーに乗り換えた。
- FRBは多くの投資家が思っているよりハト派である。
- 欧州中央銀行と日銀は、ドルに対して自分たちの通貨が強くなるのを防ごうとするのは徒労に終わることを理解しており、為替相場の上昇を許容している(理由11参照)。
- ドナルド・トランプ。米国は国際的な舞台において頼りになるとはもはや思われておらず、歴史的不人気をかこつ大統領は、軍事面ではお荷物で、弱いドルの大統領と見做されている。