「A brief history of human time」というVoxEU記事が半月ほど前に上がっている（H/T Mostly Economics、Economist's View）*1。著者はOlivier Gergaud（ケッジビジネススクール）、Morgane Laouénan（パリ第一大学国立科学研究センターソルボンヌ経済研究所）、Étienne Wasmer（パリ政治学院（Sciences-Po））。
What is the real influence of notable people on city growth over the very long run?
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We compile the largest possible database of “notable” people rather than focusing only on “very famous” individuals, because we are ultimately interested in detecting the statistically significant local economic impact of these individuals. It turns out that weighting individuals by measures of their impact does not make a big difference, which ex post justifies our collection of information on hundreds of thousands of lesser known artists, business people, and local rulers who are famous enough to have been listed and described somewhere on the internet or in various rankings, but are left out of the vast majority of internet sources.
（拙訳）
著名な人々が超長期的に都市の成長に与える真の影響はどんなものだろうか？
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我々は、「非常に有名な」個人だけに焦点を当てることはせずに、「著名な」人々についての可能な限り最大のデータベースを構築した。というのは、最終的に我々が興味があるのは、そうした人々が地域の経済に与える統計的に有意な影響を検知することだからである。個人を影響力でウェイト付けすることはあまり違いをもたらさないことが明らかになったが、それは我々の情報収集のやり方を事後的に正当化するものであった。我々は何十万というそれほど知られていない芸術家、企業家、および地方の指導者の情報を収集したが、そうした人々は、インターネットや様々なランキングで名前を挙げられ描写されるほどの知名度はあったものの、インターネットの情報源の大多数には記載されていないような人々であった。
このデータベース収録対象者の描写は、今週末に最終回を迎えるNHK朝ドラの主人公を彷彿とさせる（…実際に彼らのデータベースで拾い上げられているかどうかは不明だが）。
記事では、彼らが見い出した個人データベースの特徴の描写にかなりの行数が割かれている。研究の主目的である個人の都市に対する影響については以下のようにまとめられている。
- There is no positive association between the size of cities and the visibility of people measured at the end of their life. If anything, the correlation is negative.
- Last and not least, we find a positive correlation between the contemporaneous number of entrepreneurs and the urban growth of the city in which they are located the following decades. More strikingly, the same is also true for artists, with the contemporaneous number or share of artists positively affecting city growth over the next decades. In contrast, we find a zero or negative correlation between the contemporaneous share of “militaries, politicians and religious people” and urban growth in the following decades.
（拙訳）
- 都市の規模と、そこで晩年を迎えた著名な人々との間に正の関係は見られなかった。むしろ、相関はどちらかと言えば負であった。
- 最後に、重要なポイントとして、一時点の企業家の数と、彼らの居住する市のその後数十年の都市としての発展との間には、正の相関が見い出された。もっと驚くべきことに、芸術家についても同じことが成立し、ある時点の芸術家の人数ないし比率は、その後数十年の都市の成長に正の影響を与えた。対照的に、ある時点の「軍人、政治家、宗教家」の比率とその後数十年の都市の成長との間には、ゼロないし負の相関が見られた。
ちなみにこの研究については専用のサイトまで立ち上げられており、それなりに力が入ったものとなっている。
*1:このタイトルは以下の邦訳本の原題をもじったものと思われる： ホーキング、宇宙を語る―ビッグバンからブラックホールまで (ハヤカワ文庫NF)
